Research Center for Earthquake Prediction

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地震・火山研究グループ研究会

 平成17年4月の防災研究所の改組に伴い,地震防災研究部門,地震災害研究部門,地震予知研究センター,火山活動研究センターからなる地震・火山研究グループが発足いたしました.以降,グループでは,内外の研究連携および研究情報交換・発信の場として,毎月一回(通常は第4金曜日午後),グループ研究会を開催しています.



平成24年度

3月京都大学防災研究所 連携研究棟 3階 大セミナー室で開催!

以下の要領で、3月の防災研地震火山グループ研究会を開催いたします。
奮ってご参加ください。

3月地震火山グループ研究会

日時:3月22日(金)15:00 - 17:15(予定)
会場:京都大学防災研究所 連携研究棟 3階 大セミナー室
http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/web_j/contents/tatemono_j.html
(地図中の5番の建物です)

15:00 - 15:30 内出崇彦(地震防災研究部門 地震発生機構研究分野)
 「高周波地震波放射源と断層すべりの時空間的な関係について ~
     2010年El Mayor-Cucapah地震を例にして~」
15:30 - 16:00 Jim Mori(地震防災研究部門 地震発生機構研究分野)
 「Japan Trench Fast Drilling Project (JFAST):
     2011年東北地震の巨大滑りを理解するための掘削調査」
16:15 - 17:15 松波孝治( 地震災害研究部門 強震動研究分野)
 「最近の地震災害に関係した観測・調査・研究について」

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また、当日18時から、生協会館で本グループ研究会の懇親会を予定しております。
奮って御参加ください。


【要旨】
○内出崇彦(地震防災研究部門 地震発生機構研究分野)

「高周波地震波放射源と断層すべりの時空間的な関係について ~2010年 El Mayor-Cucapah地震を例にして~」
大地震(たとえばM7以上)による数Hz程度の「高周波地震波放射」は強震動評価の上で重要であるのみならず、震源の物理を理解する上での鍵になるものと考えられる。本講演では、これまでの高周波地震波放射の研究を紹介した上で、2010年El Mayor-Cucapah地震を例にして、高周波放射源と断層 すべりが相補的な位置・時間関係にある場合が数多く見られることを示し、それが示唆する物理的な背景を議論する。


○Jim Mori(地震防災研究部門 地震発生機構研究分野)

 IODP Expedition 343, Japan Trench Fast Drilling Project (JFAST), sailed from April 1 to May 24, 2012, with the main goal of investigating the area of very large fault displacement during the 2011 Tohoku, Japan earthquake. A borehole site near the Japan Trench was chosen with the objective of reaching the main slip zone of the earthquake at a depth of 800 to 1000 meters below seafloor. Huge fault displacements (30 to 50 meters) on this portion of the megathrust are thought to be largely responsible for the tsunami that devastated much of the coast of northeast Honshu, so understanding of the fault properties and rupture mechanisms of this area is a primary research issue for the earthquake.
For these investigations, there are temperature measurements in the immediate vicinity of the fault to determine the level of dynamic friction during the earthquake. Also, core sampling of the actual fault zone provides direct observations of the physical properties of fault and material for rock mechanics experiments.
 The drilling operations had many technical challenges, mainly related to the very deep water of nearly 7000 meters. A new record was established for the greatest total depth from the sea surface of a research borehole.


○松波孝治( 防災研究所地震災害研究部門 強震動研究分野)

「最近の地震災害に関係した観測・調査・研究について」
ここ10年間ほどの間に起きた被害地震の中で、直接に観測・調査・研究したことについて振り返り報告する。


12月京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5で開催!

以下の要領で、12月の防災研地震火山グループ研究会を開催いたします。
(!いつもと曜日が違いますので、ご注意ください。!)

海底下で地震が起こり海面が急激に上昇・下降しますと、津波が励起されるだけでなく、大気の振動(微気圧波(インフラサウンド))も励起され、大気中を音速で伝播します。山本先生には、微気圧波を用いた津波減災警報システムに関する構想と取り組みについてお話しいただきます。続いて、沖合で観測される津波情報をもとに、沿岸に到達する津波をリアルタイムに予測する手法の開発状況について、安田先生にお話しいただきます。津波に伴う微気圧波は電離圏まで到達し、電子密度分布の擾乱を引き起こしますが、2011年東北沖地震の際に地上GPS受信機によって捉えられた電離圏擾乱とシミュレーションによる再現につきまして、松村さんにお話しいただきます。

奮ってご参加ください。

12月地震火山グループ研究会 「津波に伴う微気圧波と津波のリアルタイム検出」

日時:平成24年12月18日(火)14:00 - 16:20頃
会場:京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5

14:00 - 15:00 山本 真行(高知工科大学 システム工学群 准教授)
 「インフラサウンドセンサ製作と多地点観測による津波減災警報システムについて」
 (要旨は下に添付)
- 休憩 -
15:10 - 15:40 安田 誠宏(京都大学防災研究所 沿岸災害研究分野 助教)
 「沖合観測情報を用いたリアルタイム津波予測手法の開発」

15:40 - 16:20 松村 充(電気通信大学 宇宙・電磁環境研究センター ポスドク研究員)
 「2011年東北沖地震後の電離圏変動の数値シミュレーション ~電離圏からの津波検出に向けて~」
 (要旨は下に添付)

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山本 真行(高知工科大学 システム工学群 准教授)
「インフラサウンドセンサ製作と多地点観測による津波減災警報システムについて」

インフラサウンドとは可聴域下限20 Hz以下の圧力波のことで、波長がキロメートルスケールと大きく大気粘性による減衰効果が少ないため長距離伝搬できる特性を有している。核実験検知等の目的で計測技術としての研究が長年なされてきたが、近年では世界各国のCTBTO条約批准の準備として観測網が整備され、各観測点のデータが大気中の地球物理学現象研究に用いられる 事例が急増している。国際会議Meteoroids 2004のカナダ・西オンタリオ大学のチームの発表(Brown et al., 2004)他に触発され、講演者と石原吉明氏(現:環境研)は、隕石落下クラスの流星(火球)の音波観測を視野に入れた観測手法確立を目指しインフラサウンド研究に着手した。以降、人工励起波としては、打上花火、ロケットの打上げ、はやぶさ帰還カプセルの大気圏再突入を、自然励起波としては桜島・霧島等の火山噴火の観測を中心にエネルギー推定、方向探知等の課題に挑戦してきた。発生源としては、上述の他に、自然現象としては、雷鳴および高高度放電発光現象(スプライト等)、オーロラ、地滑り、雪崩、自然ダムの崩壊、巨大低気圧、竜巻、地震、津波、波浪等がターゲットとなり得る。人工現象としても、上述の他に、化学的爆発、高速鉄道のトンネル通過、工工場騒音、発破、高速道路、風力発電等も考えうる。大気中のセンシング手法としてだけでなく、地表面から超高層大気までの上下結合を考慮するうえでもインフラサウンドなど音波モードや大気重力波モードによるエネルギー伝搬過程の解明は重要である。
2011年3月11日の巨大地震により励起された津波において、CTBTO観測網を中心とする圧力計測点で津波に伴う明瞭なインフラサウンドの到達が確認され(Arai et al., 2011)、津波防災への役割を担える可能性が現実のものとなりつつある。本講演では、これまで実施した 観測的研究の経緯と成果について紹介し、インフラサウンド観測網の確立による津波等の防災への応用可能性について議論したい。


松村 充(電気通信大学 宇宙・電磁環境研究センター ポスドク研究員)
「2011年東北沖地震後の電離圏変動の数値シミュレーション ~電離圏からの津波検出に向けて~」

津波によって大気重力波が励起され、それが電離圏まで伝播して変動を引き起こすことは1970年代から理論的に予想されていた。
近年、観測技術の向上によりこのことがようやく実証され、電離圏変動の観測に基づいた津波検出も実用化に近づきつつある。
特に地上GPS受信機を用いた電離圏電子密度の観測は時間的にも空間的(水平2次元)にも高分解能であり、2011年の東北沖地震後にも津波起源の変動を明瞭に捉えている。
しかし、津波だけでなく津波発生地点の海面変動(津波源)も大気重力波や音波を励起し電離圏変動を引き起こすため、電離圏変動を津波と対応づけるためにはそれぞれの大気波動の寄与を定量的に評価することが必要である。
講演者は、津波源の広さ・振幅と津波の波長・振幅、および電離圏変動の特徴を対応づけることを目的として、津波・大気圏・電離圏の結合モデルを用いた数値シミュレーションを行っている。
本講演では数値シミュレーションで生成された電離圏変動を津波源の寄与と津波の寄与とに切り分け、それぞれが東北沖地震後に観測された電離圏変動とどのように対応しているかについて述べる。


10月京都大学防災研究所 連携研究棟 3階 大セミナー室で開催!

下記の通り,防災研究所 地震・火山グループ研究会を開催します.
今月のグループ研究会は,学内外の他の会議日程などの都合で,定例日より1週間遅らせて,11月2日(金)に開催します.

今月は,地震波形を使って,それぞれの分野で新しい手法や考え方を取り入れた研究をされている2名の講演者をお招きしました.
ぜひ,理学系の皆さんも工学系の皆さんも,関連するお互いの研究分野をよりよく知るために,積極的にご参加ください.

10月(11/2)地震火山グループ研究会

日時:2012年11月2日(金)14:00 - 16:10
会場:京都大学防災研究所 連携研究棟 3階 大セミナー室
http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/web_j/contents/tatemono_j.html
(地図中の5番の建物です)

14:00 - 15:00 本多 亮(神奈川県温泉地学研究所)
 「バックプロジェクション法による震源過程解析」
15:10 - 16:10 宮本 崇(山梨大学 大学院医学工学総合研究部)
 「情報エントロピーに基づく性能照査用入力地震動の“集合”の 選定手法 」

【要旨】
14:00 - 15:00 本多 亮(神奈川県温泉地学研究所)
「バックプロジェクション法による震源過程解析」

日本のHi-net観測網のデータを用いて2004年に発生したスマトラ地震の震源過程解析を行ったIshii et al. (2005)以後、バックプロジェクション法を用いた震源過程解析の有効性が広く認識されるようになった。昨年の東北地方太平洋沖地震では、遠地・近地の観測網で多くの良好なデータが取得され、解析に用いられている。今回は、バックプロジェクション法を用いて震源過程解析をする際の利点や課題などを示しながら、東北地方太平洋沖地震のほか、これまで我々が行ってきた解析例を紹介する。


15:10 - 16:10 宮本 崇(山梨大学 大学院医学工学総合研究部)
「情報エントロピーに基づく性能照査用入力地震動の“集合”の 選定手法 」

構造物の地震時安全性を確かめる基準外力として用いられる入力地震動には,設計用応答スペクトルに適合する波形が用いられることが多い他,近年では強震動シミュレーションから生成される波形を用いる検討も進んでいる.
一方で,これらの手法では,波形の位相情報やシミュレーション上のパラメタが一意に決まらないため,入力地震動の候補が無数に生じることとなる.

従来の考え方では,構造物に求められる安全性が高いほど,それらの候補の中で「強い」と評価される波形が入力地震動として選ばれた.これに対し本手法では,構造物に求められる安全性が高いほど,候補全体の中で大きな範囲を占める「多様な」地震動の集合を,情報エントロピーに基づいて選ぶ手法を提案する.


7月京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5で開催!

以下の要領で、7月の防災研地震火山グループ研究会を開催いたします。
話題提供いただく野田さんは、数理的・実験的手法を用い、地震発生に関する
世界最先端の研究をおこなっていらっしゃいます。
今回は、地震の発生予測にとっても大変重要な二つのテーマに関するお話しを
たっぷり聴かせていただくことにしました。
奮ってご参加ください。【 要旨(PDF)】

7月地震火山グループ研究会 「地震発生の物理」

日時:平成24年7月27日(金)14:00 - 16:10
会場:京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5
話題提供:野田博之(海洋研究開発機構・研究員)

14:00 - 15:00 「階層アスペリティの地震サイクルシミュレーション ― 地震サイズに見合う準備過程の有無」
15:10 - 16:10 「脆性・塑性遷移を考慮に入れた断層の構成則と、構造地質学の「断層モデル」の数理モデルによる具体化に向けて」


6月京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5で開催!

以下の要領で、6月防災研地震火山グループ研究会を開催いたします。
今回は、南九州の活動的な火山である霧島新燃岳と桜島を取り上げます。
奮ってご参加ください。

6月地震火山グループ研究会

日時:平成24年6月29日(金)14:00 - 16:00
会場:京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5

話題提供:市原美恵(東京大学地震研究所)
タイトル:地震-空振相関法による火山活動のモニタリングと波動放出機構の考察
要旨:
空振観測は,火山の表面現象のモニタリング手法として,ますます盛んになっている.空振観測の最大の障害は,風のノイズであるが,アレイ観測やパイプを張り巡らせた空間フィルターによる低減方法が考案され,音源から数千kmも離れた場所でシグナルが捉えられるようになってきた.しかし,これらの大がかりな観測システムが整備されている火山は少なく,風ノイズとの区別の付きにくい連続的噴火(噴気)活動の検出はまだ限られている.本研究では,1つの空振計と併設された地震計を組み合わせて,空振シグナルを有効に検出する方法を考案し,それを利用して新燃岳2011年噴火や浅間2009年噴火の活動推移を解析した.両火山とも,噴火前には,火口近くの一点しか空振観測点が設置されていなかった.その準備不足は反省しつ つも,その一点の観測データから微弱な空振シグナルを拾い出すことのできる本方法は,様々な状況に於いて有用であると考えている.さらに,新燃岳2011年噴火の準プリニー式噴火やブルカノ式噴火における,空振と地震のエネルギー配分の推移を解析し,他の火山の様々な噴火様式に伴う観測例と比較した.その結果から,噴火に伴う波動放出機構について議論する.

話題提供:井口正人(京都大学防災研究所)
タイトル:桜島火山活動と今後の火山噴火予知研究の問題点
要旨:
1955年に始まった桜島の南岳における爆発的噴火活動は1972年から1992年に最盛期を迎え,2003年以降は爆発回数が10回以下に激減した.代わって,2006年からは東山腹の昭和火口が噴火活動を再開し,2009年以降,爆発的噴火回数が急激に増えている.昭和火口の小規模爆発については1~24時間前に火口直下の浅部の膨張を示す,火口方向の収縮ひずみと直交方向の伸長ひずみが観測され,前兆現象を捉えられる段階にある.一方,長期的な活動については1993年以降,桜島の主マグマ溜まりがあるとされる姶良カルデラ下におけるマグマの蓄積が進行し,蓄積量は1993年以降,1億5千万立方メートルと推定される.噴出物量も増加しており,長期的に噴火活動が更に活発化することが懸念される.2010年11月のメラピ火山,2011年1月の霧島新燃岳噴火に見られるように開口した火道を持つ火山ではひずみが蓄積しにくく,地震活動の急激な活発化は見られない.1914年の桜島大正噴火開始の1日前から有感を含む地震が多発したが,1日前から前兆現象の捕捉では十分な防災対策ができない恐れがある.


5月京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5で開催!

以下の要領で、防災研地震火山グループ研究会を開催いたします。
奮ってご参加ください。

5月(6/1)地震火山グループ研究会 「東北地方太平洋沖地震前後の非地震性すべり」

日時:平成24年6月1日(金)14:00 - 16:10
会場:京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5

14:00 - 15:00 内田直希(東北大学 地震・噴火予知研究観測センター)
「小繰り返し解析による2011年東北地方太平洋沖地震前後の準静的すべりの推定」
15:10 - 16:10 加藤愛太郎(東京大学 地震研究所)
「東北地方太平洋沖地震発生前に見られたゆっくりすべりの伝播」

【要旨】
14:00 - 15:00 内田直希(東北大学 地震・噴火予知研究観測センター)
「小繰り返し解析による2011年東北地方太平洋沖地震前後の準静的すべりの推定」
プレート境界でのすべりを表す小繰り返し地震の解析により,東北地方太平洋沖地震すべり域内外での対照的な準静的すべりパターンが明らかになった.東北地方太平洋沖地震前においては,将来の地震時すべり域で,低速で揺らぎの大きいすべりがみられたのに対し,その周囲では,比較的すべりレートが速く,揺らぎは少なかった.一方,東北地方太平洋沖地震後は,地震時すべり域ではすべりが完全に停止したのに対し,その周囲では明瞭な加速(余効すべり)がみられた.このような特徴は,東北地地方太平洋沖地震のすべり域内外でのプレート境界の性質の違いを表している可能性がある.
 さらに準静的すべりの時空間分布を詳しくみると,地震時大すべり域近傍で地震前3-5年にすべり速度増加(固着のゆるみ)があることや地震後の余効すべりに伝播が見られることが分かった.これらは,大地震の発生過程をモデル化する上で重要な推定結果と考えられる.

15:10 - 16:10 加藤愛太郎(東京大学 地震研究所)
「東北地方太平洋沖地震発生前に見られたゆっくりすべりの伝播」
2011年東北地方太平洋沖地震は、その発生約1ヶ月前から、本震の破壊開始点の北側で群発的な前震活動を伴った。震源域に近接する地震観測網の連続波形データから、前震の新たな震源カタログを構築した。このカタログを分析することで、本震の破壊開始点へ向かう震源移動が、ほぼ同じ領域(以下、EMZ)で、2度にわたり起きていたことが示された。1度目の移動は、2月中旬から下旬まで継続し、その移動速度は2~5 km/dayであった。2度目の移動は、3月9日のM7.3の最大前震の発生後に見られた。その移動速度は平均約10 km/dayで、移動速度は前震M7.3の発生後から徐々に減速を示した。
 これらの前震活動には、小繰り返し地震が含まれていたことから、震源の移動は、本震の破壊開始点へ向かうプレート境界面上のゆっくり滑りの伝播を意味する。3月9日の前震M7.3の発生後、EMZの北側では、M7-8級の地震後に見られる余効すべりと類似したすべり挙動が見られた。一方で、EMZ内では、2月中旬-下旬に引き続いて2度目のゆっくり滑りの伝播が観察された。本震前に生じた2度にわたる「ゆっくり滑りの伝播」が、本震の破壊開始点へ応力集中を引き起こし、巨大地震の発生を促した可能性が考えられる。


4月京大宇治キャンパス おうばくプラザきはだホールで開催! ⇒⇒⇒ 報告書(PDF)更新:2012/5/14

京大防災研地震火山グループでは、毎月一回研究会をおこなっておりますが、4月27日には、きはだホールで特別シンポジウムを実施することにしました。
多くの方のご参加をお待ちしております。【 趣旨および詳細(PDF)】(最終更新:2012/4/24)

4月地震火山グループ研究会 特別シンポジウム(京大防災研地震火山グループ主催)

テーマ:大規模地震発生の予知予測を考える ―東海地震に対する枠組みを軸に―
日時:平成24年4月27日(金)14:00 - 17:00
場所:京大宇治キャンパス きはだホール(地図参照)

前半(14:00 - 15:35)
福島:趣旨説明(5分)
橋本 学「大震法:地震科学の製造物責任」(30分)
小泉尚嗣「地震防災対策強化地域判定会での議論の実情について」(30分)
堀 高峰「地震発生予測研究の現状と展望~どのような情報発信が可能か~」(30分)

後半(15:45 - 17:00)
討論会(パネルディスカッション)
司会:福島 洋(京大防災研)
以下の三つのテーマに沿った討論を行う予定です。
・「望ましい予知予測情報は?」
・「防災情報としての予知予測情報に地震研究者はどこまで関与すべきか?」
・「研究者集団として今後取るべきアクションは?」


平成23年度

3月京大宇治キャンパス 防災研究所連携研究棟3階セミナー室で開催!

今回は、今年度限りで退職されます、技術室の平野憲雄さん・地震予知研究センターの竹内文朗先生・火山活動研究センターの石原和弘先生にお話しいただきます。
奮ってご参加ください。時間が変則的なので、ご注意ください。

3月地震火山グループ研究会
日時:3月23日(金)15:00 - 17:30
会場:京大宇治キャンパス 防災研究所連携研究棟3階セミナー室
http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/web_j/contents/tatemono_j.html の5番の建物です)

15:00 - 15:30 平野憲雄(技術室)
「忘れがちのブラックボックス」
要旨:京大に就職したころ(1965年)は、センサーや記録器を手作りする時代であった。
時代が進むと、安くて精度の良い既製品の利用へと置き変ってきた。
地震計は振り子の電磁式で原理はそのままである。
特殊なセンサー(歪み計など)もあるが、安価であることが大学の必要条件だろう。
一方の記録方式は、印画紙や紙に記録する方式から磁気テープへ、そしてハードディスクやDVDへと変遷してきた。
現在では、パソコンの画面で記録を見て、解析処理が迅速にできるようになった。
工作室の役目は開発から修理のみになり、製作の熟練技術は無用になりつつある。
気温変化を見越した設計製作かの疑問も忘れてゆく技術痴呆症へと進むのだろうか。
ほとんどの市販の既製品は中身を知らなくても良くなり、判らないので信用するしかない。
センサーは良質でも、設置場所でデータの質が大きく変る。
肌(アナログ)で感じた環境は設置した人のみの体験で他人には伝わりにくい。
また、データ収録過程もアナログからデジタルになり、フイルターで信号を捨てている部分も含めて知る必要もない、知る事ができないブラックボックス扱いとなっている。
このブラックボックスの適用範囲が広がってくると、失敗に気づかない恐れがある。
最大のブラックボックスは「科学とは神の創られた世界を解明すること」を忘れていることではないだろうか。
時代の流れの体験から話題提供をしてみたい。

15:30 - 16:15 竹内文朗(地震予知研究センター)
「よくぞ今日まで」
要旨:大学生活がそろそろ半世紀になる。
 若き日、地下の構造に着目し、地震探査、重力測定、やや長周期の微動、などの測定が面白かった。就職は微小地震部門で、北陸微小地震観測所にも勤務した。その時の福井地震断層調査に力が入った。再び宇治では、移動班や微小地震観測が続いた。
現在は、過去のデータを使っている。
 皆さんにはよく生かして頂いたと感謝ばかりである。

16:30 - 17:30 石原和弘(火山活動研究センター)
「火山活動予測に関連して、やってきたこと、やり残してきたこと」
要旨:火山噴火の発生、活動の推移の予測は実に厄介である。火山活動の理解、特に、火山噴火に至る過程の解明を目指して、火山噴火予知計画発足以来、自身と研究者仲間が取り組んだ火山活動予測に関連する研究課題の成果と課題、火山噴火予知の到達点と現時点での限界などについて、桜島等いくつかの火山の事例をもとに紹介する。


12月京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5で開催!

今回は、地震波の散乱に関する研究で世界をリードしてこられた東北大学の佐藤春夫先生にお話しいただきます。
奮ってご参加ください。時間が変則的なので、ご注意ください。

12月地震火山グループ研究会
日時:12月16日(金)15:30 - 17:30
会場:京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5

話題提供:佐藤春夫(東北大学大学院理学研究科)
タイトル:短周期地震波と地球のランダム不均質構造
要旨:
近地小地震の地震記録,特に短周期成分の記録は複雑で,想像される単純な震源過程とは大きく異なる様相を示す.S波相のみかけ振動継続時間は,地震のマグニチュードから推定される震源継続時間よりも長く,伝播距離の増加に伴って拡大することが知られている.また,S波相の後には,コーダ波と呼ばれる波群が長い時間にわたって観測される.遠地地震のP波記録の継続時間も震源継続時間より長く,水平動transverse成分にうも波動の励起が観測される.バンドパスフィルタを通した地震波形のエンベロープに着目すると,その形状は震源距離や周波数に依存し,また波線経路によっても異なる.これらの短周期地震波形の特徴は,リソスフェアにおけるランダムな不均質構造による散乱に起因すると考えられ,統計的散乱理論に基づいた解析によってランダムな不均質の定量的な推定が試みられてきた.これらの方法による不均質構造の統計的な記述は,トモグラフィーやレシーバー関数法などによる決定的な方法と相補的に,固体地球の構造に関する知識を豊かにするであろう.本講演では,多様な観測事実とこれらを説明するための超音波を用いた岩石実験や簡単な数理モデル,これらを基に推定されたリソスフェアのランダム不均質構造について,総合的な報告を行う.
資料(PDF34.8MB)(2011.12.13up)
<佐藤先生より補足説明>散乱と不均質のレビューですが,特にランダム不均質構造とエンベロープ形成に的を絞り,Sato & Fehler 1998収録のものに加えて,それ以降の仕事を付加したものです.できるだけ,波形を見てもらうように作ってみましたが,数式の導出は飛ばしてあります.


10月京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5で開催!

今回は、10月に着任されました倉田先生をはじめ、フレッシュな方々に話題提供をお願いしています。
奮ってご参加ください。

10月地震火山グループ研究会
日時:10月28日(金)14:00 - 16:30
会場:京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5

14:00 - 14:50 倉田 真宏(地震防災研究部門)
「都市のレジリエンシーを支えるスマートな建築物群の構築-大規模構造物の長期モニタリングを目指したローコストセンサネットワークとサイバインフラの整備-」 要旨:大規模構造物に配置したセンサネットワークより得られる情報を用いて構造物の動的挙動と長期健全度をモニタリングする技術の開発に取り組んでいる.具体的には,地震力などの大きな外力を受けた前後の構造物の挙動変化を知ることから構造物の損傷状態を推定し早期危険度診断に利用したり,通常時荷重(橋梁のトラック荷重や超高層建物の風荷重など)に起因する経年劣化を追うことからや残留耐用期間を工学的に評価したりすることを目指している.提案するシステムではワイヤレスセンサ技術を利用してセンサ設置費用を抑え密度の高いセンサ配置を実現することからモニタリングシステムの精度を高める.また実用性の高いサイバインフラストラクチャを整備することから,得られた大量の生センサデータの中に埋もれた情報を自動的に評価して確率論的損傷指標や耐用期間推定に変換するデータインテロゲーションソフトウェアの開発にも取り組んでいる.将来的には,センサを整備したスマート建築群と地震動マップなどを組み合わせることから,構造種ごとに分類した地震被害推定マップの制作などにもチャレンジし,震災などの復旧活動を支援していくシステムの構築を考えたい.

14:50 - 15:30 山田 真澄(地震防災研究部門)
宇治キャンパスの災害リスクと事業継続計画の策定に向けて 要旨:宇治キャンパスには、大地震時に火災や事故が発生する可能性のある実験施設等が少なからず含まれており、危機的状況が発生した場合に、学生の安全を確保し、研究・教育活動を継続する必要がある。しかしながら、危険物の種類や量、危険物を取り扱う場所は、居住者間で十分に情報共有されているとは言えず、極端な話、隣の部屋で何が行われているかも知らずに生活している状況にある。我々は、防災研究に関わる者として、宇治キャンパス構成員の防災意識を高め、地震などの災害発生時にできるだけ被害を抑えるよう、日頃から努力していかなければならないと考える。本研究では、その第一歩として、私の研究テーマの1つである緊急地震速報の宇治キャンパスへの導入、さらに避難時の役に立つハザードマップの作成についての取り組みを紹介する。

15:30 - 15:40 休憩

15:40 - 16:30 宮澤 理稔(地震予知研究センター)
「東北地方太平洋沖地震に伴う日本列島での遠地トリガリング」 要旨:先の東北沖地震の発生により日本列島の応力場は大きく変化し、活発な余震活動や誘発地震が観測されている。断層長スケール内の地震活動の多くは、永久変位に伴う静的応力変化による誘発として解釈される。一方、地震波の伝播によってもたらされる動的な応力変化は、震央距離数100km以遠では静的応力変化に比べ遥かに値が大きく、一過性ではあるものの、地震を誘発する可能性がある。本講演では、これまでに観測例の多い表面波による誘発について今回明らかになった現象について紹介する他、発見が難しいP波による誘発の可能性についても報告する。


9月京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5で開催!

今回は、名古屋大学の寺川寿子さんに講演をおねがいしました。
解析手法の理論的背景についても時間を割いて解説していただけますよう、お願いしてあります。
奮ってご参加ください。

9月地震火山グループ研究会「日本列島の応力場」
日時:9月16日(金)14:00 - 15:30
会場:京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5

話題提供者:寺川寿子(名古屋大学 環境学研究科附属 地震火山・防災研究センター)
タイトル:地震のCMTデータから推定される日本列島域の3次元テクトニック応力場
要旨:
日本列島は,4つのプレートが相互作用を及ぼし合う複雑なテクトニック環境下に ある.日本列島域では,これらのプレート間の力学的相互作用と地殻内の構造境 界の運動によって形成された複雑な応力場を反映して,時間的にも空間的にも複 雑で多様な地震活動が観測される。したがって,地震の発生を理解するためには, 地殻応力状態を推定することが本質的に重要である.本講演では,応力インバー ジョン法の発展の歴史を眺めながら,地震のCMT(Centroid Moment Tensor)デー タから広域テクトニック応力場を推定するCMTデータインバージョン法の原理を概 説し,防災科学技術研究のF-netモーメントテンソルカタログのデータから求めた 日本列島域の3次元応力パターンの特徴を紹介する.


7月京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5で開催!

今月は、東北地方太平洋沖地震の津波の調査と、地震前後の海底地殻変動観測について話題提供があります。
皆さまご存知の通り、津波と海底地殻変動は、今回の地震に関して大変重要な要素です。
奮ってご参加ください。

7月地震火山グループ研究会 「東日本大震災(4)」
日時:7月29日(金)14:00 - 16:10
会場:京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5

14:00 - 15:00 森 信人(京大防災研気象・水象災害研究部門 准教授)
「東北地方太平洋沖地震津波の痕跡調査結果と被災状況」
要旨:東北地方太平洋沖地震津波の調査では,津波工学,海岸工学および地球物理関係研究者合が多数参加して全国的に大規模な津波痕跡調査が実施された.防災研は,全国の津波調査のための事務局として調査の調整と取りまとめを行った.
本研究会では,津波調査の概略と調査データの初期解析結果について概説する.

15:00 - 15:10 休憩

15:10 - 16:10 佐藤 まりこ(海上保安庁 海洋情報部 主任研究官)
「東北地方太平洋沖地震前後の海底の動き」
要旨:海上保安庁では、プレート境界地震の震源域である海域の地殻変動をモニターするため、海底地殻変動観測を実施している。これまでに、海洋プレートの沈み込みに伴う定常的な地殻変動や地震に伴う地殻変動を検出している。3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(M9.0)では、震央付近の海底基準点が同地震に伴い東南東に約24m移動し、約3m隆起したことがわかった。講演では、東北地方太平洋沖地震前までに得られていた成果、同地震に伴う海底の地殻変動及びその後の動き(余効変動)について報告するとともに、海底地殻変動観測技術の現状と今後の展望について述べる。


6月京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5で開催!

先月・先々月に続き、東日本大震災に関連するテーマです。
今回の研究会では、防災研地震予知研究センターの飯尾能久センター長から
東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の全体像に関する話題提供
があります。これまでに蓄積されてきた様々なデータや研究結果を概観し、
今後取り組むべき重要課題について議論を交わす機会になれば、と思います。

6月地震火山グループ研究会 「東日本大震災(3)」
日時:6月24日(金)14:00 - 16:00
会場:京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5

話題提供:飯尾能久(防災研地震予知研究センター)
タイトル:東北地方太平洋沖地震の実際
要旨:
今回の地震に関して,
・なぜマグニチュード9となったのか?
・今後の地震活動はどうなるのか?
という質問を多くいただいている.
どちらの質問に答えるためにも,可能な限りの現状の正確な把握が最も重要である.
東北地方太平洋沖地震は,日本付近の海域としては,計器による観測データが一番豊富な地域で発生した.海底地殻変動データを用いた推定では,地震すべりの量は最大で50mにも及んだと言われている.上記の質問に答えるために,これまでに報告されているデータを吟味し,
・地震時に何が起こったのか? 
・震源域とその周辺はどのような状況にあったか? 
などについて整理したい.ただし,このabstractを書いている時点では,残念ながら,上記の質問に明確に答えることは出来ていない.


5月京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5で開催!

今回は、前回に引き続き、東日本大震災に関連する話題を防災研地震火山グループ内外の方々に提供していただきます。
前半は、強震動や強震動の成因に関する話題で、後半は4月11日に福島県東部で発生したM7の誘発地震に関するものです。

5月地震火山グループ研究会「東日本大震災の調査研究」
日時:5月20日(金)14:00 - 16:10
会場:京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5

14:00 - 14:30
発表者名:浅野公之(地震災害研究部門)
タイトル:「2011年東北地方太平洋沖地震本震の強震動生成域」
要旨:2011年東北地方太平洋沖地震では広範に強震動が観測された.これらの 強震記録を分析し,地震動被害に密接に関係する周期0.1-10秒程度の地震動を説明するための震源モデルを構築している.強震動から推定された強震動生成域と長周期地震波形や地殻変動,津波等によって推定されている時空間のすべり分布との関係を議論することで,プレート境界巨大地震の震源像や強震動生成機構に関する本質的な知見が得られると考えている.現時点での解析結果について報告する.

14:30 - 15:00発表者名:川瀬博・松島信一(社会防災研究部門)
タイトル:宮城県K-NETサイト築館(MYG004)周辺における微動観測と余震観測の状況報告
要旨:川瀬・松島研究室のメンバー5名と清水建設技術研究所のメンバー3名からなる チームは、4月29日から5月1日にかけて宮城県のK-NET強震観測サイトMYG004築館とMYG006古川において、その地盤増幅特性を明らかにする目的で、サ イト近傍でアレー微動観測を実施し、連続余震観測点を計5点設置してきた。現時点では、微動観測についてはそのスペクトル比の分析結果、余震観測については設置前後に記録された2地震のスペクトル比の分析結果しか得られていないが、その設置状況と予備的解析結果の概要を本震のスペクトル比と比較しつつ報 告する。

休憩

15:10 - 15:40
発表者:遠田晋次(地震予知研究センター)・堤 浩之・杉山達哉・安田大剛(理学研究科地球物理学教室活構造学講座)
タイトル:4月11日いわき市南部で発生したM7地震の地震断層
要旨:同地震によって,既往地質図と活断層図に示されていた井戸沢断層と湯ノ岳断層上で地震断層が出現した.念のため住民への聞き取りを行い,両断層とも4月11日の地震時に出現したことを確認した.両断層は『ハ』の字状に分布し,『ハ』の字内部には新第三系の堆積岩類が分布し,それを取り囲むように古期変成岩・花崗岩が分布し山地を構成する.特に,湯ノ岳断層上に現れた地震断層はほぼ正確に地質境界に沿っている.変位センスは,一部にわずかな横ずれ変位を伴う正断層で,両断層とも西落ちのセンスである.長さはそれぞれ14 kmと15 km,最大上下変位量はそれぞれ2.1 mと0.8mに達する.共役ないしは延長関係にない2つの正断層が同時に活動した例は珍しいと思われる.

15:40 - 16:10
発表者:齊藤隆志(地盤災害研究部門)・松波孝治(地震災害研究部門)・福島洋(地震予知研究センター)
タイトル:InSAR解析結果と10mDEMを用いた水文地形解析との関係 
要旨:4月11日いわき市南部付近で出現した地震断層について,長波長トレンドを除去したローカルな変動を表すInSAR解析結果と国土地理院で公表されている10mDEMを用いた水文地形解析結果の関係を示す.高度分布,傾斜分布,集水域形状,河道網形状,地すべり分布,および地質との関係を示す.空中写真判読を用いたリニアメント抽出とあわせて報告する.


4月京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5で開催!

《話題が増えました》

今回は、東日本大震災に関連する話題を五名の防災研地震火山グループ内部の方々に
提供していただきます。前半は、3/11の地震によりトリガーされた、あるいは周辺で今後起こりうる地震に関する話題で、後半は被害調査に関する話題です。

4月地震火山グループ研究会「東日本大震災の調査研究」
日時:4月22日(金)14:00 - 16:20
会場:京大宇治キャンパス おうばくプラザセミナー室4,5

14:00 - 14:20
発表者名:深畑幸俊
タイトル:「東北地方太平洋沖地震による絶対歪みの解放」
要旨:地震は歪みの解放過程であるが,通常は蓄積されたひずみの一部を解放するに過ぎない.しかし,2011年東北地方太平洋沖地震は,断層上にこれまでに蓄積された歪みをおよそ全て解放する極めて例外的な地震であったと考えられる.なぜそのように考えられるのか本震の破壊過程や余震のメカニズム解から説明すると共に,その物理的意義について述べる.

14:20 - 14:40
発表者名:高田陽一郎 (高田、福島、橋本)
タイトル:InSAR解析による誘発された内陸地殻変動の検出
要旨:ALOS(だいち)搭載の合成開口レーダー(PALSAR)が東日本を広域かつ面的に撮像した。このデータを用いてInSAR解析を行い、さらにM9.0の地震に伴う変動縞から長波長トレンドを除去することで、同地震により誘発された内陸地殻の変形を検出した。茨城県北部から福島県浜通り、長野県北部、宮城県北部、吾妻山麓等について報告する。

14:40 - 15:10
発表者:遠田晋次
タイトル:太平洋沖地震による内陸地震のトリガリングと今後の地震活動への長期的影響
要旨:同地震による静的応力変化に関する計算結果と今後の地震活動の推移予測について紹介する.日本列島は地域によって応力場と構造に差があり,クーロン応力を解く断層面を適確に判断する必要がある.著者は本震前までの防災科学技術研究所のF-net解を使用し,各地震の両節面をローカルな断層の代表とみなし評価した.応力増加の節面が優位の地域で,その後の地震活動が活発化していることがわかった.

休憩

15:20 - 15:50
発表者:田村修次
タイトル:東京湾ウォーターフロントにおける液状化被害
要旨:東日本大震災では、東京湾のウォーターフロントで激しい液状化が発生し、多くの戸建て住宅が被害をうけた。その被害の状況について話題提供をします。

15:50 - 16:20
発表者:後藤浩之(前半),山田真澄(後半)
タイトル:宮城県北部を中心とした地震動による被害
要旨:本地震では栗原市築館で震度7が観測され,また広い範囲で震度6強の地震動が観測されている.今回は宮城県北部地域(大崎市古川,宮城野区苦竹,栗原市築館,登米市迫町佐沼など)に着目し,本震後の被害の実態について報告する.また,4/7に発生した余震では,この地域において工学的に重要な周期帯域で本震と同等なレベルの地震動が観測されている.この余震による被害を本震後の様子と比較することで抽出を試みた.


地震・火山研究グループ研究会

 平成17年4月に防災研究所が改組され,あらたに地震防災研究部門,地震災害研究部門,地震予知研究センター,火山活動研究センターからなる地震・火山研究グループが発足いたしました.今回の改組の主眼の一つは,研究組織間の相互の連携の強化であり,そのための枠組みとして研究グループが設けられました.この機会に,地震予知研究センター研究会として実施してきました研究会を地震研究グループの研究連携および研究情報交換,発信の場としたいと考え,研究会の名称も変更し,新たに地震・火山研究グループ研究会といたしました.