更新日:2019.04.10
Updated: 2019.04.10
今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。
Here is information of the Unagi-seminar(14 November).
************** うなぎセミナーのご案内 (Unagi-seminar) **************
科目:地震学ゼミナールIV(修士・博士)
日時:11月14日(木)14:00~
場所:宇治キャンパス本館E棟2階E-232D
(地震予知研究センター本館セミナー室)
Date and time: 14th Nov., 14:00 ~
Room: E-232D @ Main building
Map: http://www.uji.kyoto-u.ac.jp/campus/map.html
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[発表者 (Presenter)]
佐脇泰典(Yasunori Sawaki)
[題目 (title)]
近地深発地震記録を使用した広帯域レシーバ関数解析 -深部低周波微動が発生する紀伊半島北東部および東海地方を例に-
Application of Local Deep Earthquake Records to Multiband Receiver Function Analysis on Northeastern Kii and Tokai Areas Hosting Deep Low Frequency Tremors
[要旨 (Abstract)]
スロー地震発生場の地震学的構造に特異性はあるのか? 西南日本のフィリピン海プレート沈み込み帯で発生するスロー地震の空間分布から, これらは概略的には深さに依存した現象と考えられている[例えば, Obara (2002); Hirose et al. (2010)]. 深部低周波微動は, 東海地方から四国西部の分布[例えば, 防災科研微動カタログ]から, プレート境界の深さ約30-35 kmの領域で発生していることが分かる. 一方Obara et al. (2010)は, 西南日本の深部低周波微動が浅部側と深部側で異なる発生様式を持ち得ることを明らかにした. 特に紀伊半島北東部ではこの特異な微動分布が顕著で, 東海地方とは伊勢湾付近で微動分布が分断されている. しかし, 微動をはじめとするスロー地震発生領域と地震学的構造との関連性に関しては議論が十分に進んでいるとは言えない. 西南日本の微動発生領域における詳細な地震学的構造の空間的特徴を捉えるために, 本研究では広帯域レシーバ関数法を考案した. さらに太平洋スラブ内で発生する深発地震(200 km以深)も併せて解析に使用することで, より広域かつ高周波のイメージを取得することに成功した. 紀伊半島北東部のレシーバ関数イメージでは, 大陸モホ面がupdip側にせり上がる傾向が見られ, これは澁谷ほか (2018, 地震学会)の結果と調和的である. また, 微動分布とマントルウェッジの構造が概ね対応するものの, 浅部側の微動分布直上では既に大陸モホ面のせり上がりが始まっていることが分かった. 短期的スロースリップイベントの矩形断層モデル[Nishimura et al. (2013)]はせり上がりの深部限界を超えているが, 概ね深部側の微動域をすべり境界とし, マントルウェッジ最上部に至る現象であると言える.
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今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。
Here is information of the Unagi-seminar(14 November).
************** うなぎセミナーのご案内 (Unagi-seminar) **************
科目:地震学ゼミナールIV(修士・博士)
日時:11月14日(木)14:00~
場所:宇治キャンパス本館E棟2階E-232D
(地震予知研究センター本館セミナー室)
Date and time: 14th Nov., 14:00 ~
Room: E-232D @ Main building
Map: http://www.uji.kyoto-u.ac.jp/campus/map.html
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[発表者 (Presenter)]
佐脇泰典(Yasunori Sawaki)
[題目 (title)]
近地深発地震記録を使用した広帯域レシーバ関数解析 -深部低周波微動が発生する紀伊半島北東部および東海地方を例に-
Application of Local Deep Earthquake Records to Multiband Receiver Function Analysis on Northeastern Kii and Tokai Areas Hosting Deep Low Frequency Tremors
[要旨 (Abstract)]
スロー地震発生場の地震学的構造に特異性はあるのか? 西南日本のフィリピン海プレート沈み込み帯で発生するスロー地震の空間分布から, これらは概略的には深さに依存した現象と考えられている[例えば, Obara (2002); Hirose et al. (2010)]. 深部低周波微動は, 東海地方から四国西部の分布[例えば, 防災科研微動カタログ]から, プレート境界の深さ約30-35 kmの領域で発生していることが分かる. 一方Obara et al. (2010)は, 西南日本の深部低周波微動が浅部側と深部側で異なる発生様式を持ち得ることを明らかにした. 特に紀伊半島北東部ではこの特異な微動分布が顕著で, 東海地方とは伊勢湾付近で微動分布が分断されている. しかし, 微動をはじめとするスロー地震発生領域と地震学的構造との関連性に関しては議論が十分に進んでいるとは言えない. 西南日本の微動発生領域における詳細な地震学的構造の空間的特徴を捉えるために, 本研究では広帯域レシーバ関数法を考案した. さらに太平洋スラブ内で発生する深発地震(200 km以深)も併せて解析に使用することで, より広域かつ高周波のイメージを取得することに成功した. 紀伊半島北東部のレシーバ関数イメージでは, 大陸モホ面がupdip側にせり上がる傾向が見られ, これは澁谷ほか (2018, 地震学会)の結果と調和的である. また, 微動分布とマントルウェッジの構造が概ね対応するものの, 浅部側の微動分布直上では既に大陸モホ面のせり上がりが始まっていることが分かった. 短期的スロースリップイベントの矩形断層モデル[Nishimura et al. (2013)]はせり上がりの深部限界を超えているが, 概ね深部側の微動域をすべり境界とし, マントルウェッジ最上部に至る現象であると言える.
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© Research Center for Earthquake Hazards.
© Research Center for Earthquake Hazards.