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うなぎセミナー 11/25

うなぎセミナー 11/25

セミナー等

SEMINARS

更新日:2021.04.08

Updated: 2021.04.08

  • 開催場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)
  • Place: 京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)
  • 開催日時:2021年11月25日(木) 14時00分~
  • Date and Time: 2021年11月25日(木) 14時00分~

今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。

Here is information of the Unagi-seminar(November 25).

************** Seminar on Seismology IV B, D /地震学ゼミナールIV B, D (Unagi Seminar) **************

科目:地震学ゼミナールIV B, D / Seminar on Seismology IV B, D(修士・博士)
日時:2021年 11月 25日 (木) 14:00~
場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)

Date and Time:2021-11-25, 14:00~
Place:Uji Campus Main Building E232D or Zoom (Hybrid)

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Speaker 1 (発表者 1):野木ひかり

Title (題名):2017年長野県南部の地震(Mj5.6)の断層近傍における応力場推定

Abstract (要旨):
 内陸地震の発生には応力場が密接に関係しており、地震発生過程を理解するためには、地殻の応力状態を知ることが重要である。例えばKawanishi et al.(2009)では、2000年鳥取県西部地震 (Mw=6.6) の稠密余震観測で得られた余震データを使用して応力インバージョン法により詳細な応力場を推定し、中国地方の地震帯において、それ以外の領域に比べて最大圧縮応力の向きが回転していることを示唆した。この空間変化は、地震帯直下の下部地殻の不均質構造を仮定した有限要素法による応力場のパターンと整合的であり、断層上の延性的なすべりによる影響で説明できることが報告された。 本研究では、長野県西部地域における稠密地震観測で得られた地震データを用いて、2017年6月25日に発生した長野県南部の地震(Mj=5.6)の断層近傍の詳細な応力場を推定し、空間的な不均質性を調べた。
 応力インバージョンの計算には、Iio et al.(2017)よる、断層面上で生じるすべりの方向が断層面に働く剪断応力の方向と平行であるとするWallace-Bott仮説と、解析領域内の応力場は時空間的に一様であるという仮定を用いて、解析に用いる地震に関して、観測されたすべりの方向と理論的なそれとの差 (ミスフィット角) の二乗和を最小とする方法を用いて、グリッドサーチにより求めた。
 応力インバージョンの結果、断層近傍において応力の局所的な空間変化が見られた。本解析領域全体における最大圧縮応力のazimuthの平均は西南西-東南東方向であり、これはTerakawa et al.(2013)における、本研究で解析に用いた領域を含む広域のazimuthと比較すると、やや東-西に近い向きであった。また長野県南部の地震の西側の一部(深さ2-3km)では、azimuthが北西-南東から北北西-南南東方向であり、応力比は周囲と比べて低い傾向が見られた。これはYukutake et al.(2010)にて報告された特徴と同様の応力場のパターンを示している。さらに、長野県西部地震の断層の南側 (深さ4-5km)では一部、azimuthが東-西方向へと回転している領域が見られた。これより、本解析領域全体におけるazimuthの平均が西北西-東南東であるのに対して、一部北西-南東から北北西-南南東を示す領域や東-西方向など、平均的な応力パターンとは異なる不均一構造の存在が考えられる。しかしながら、応力の局所的な空間変化を示す一部の領域では、ミスフィット角が明確な最小値を示していないため、解の精度評価についても検討する。また、応力の空間変化が見られる領域下での非地震性すべりの可能性や、それが地震発生にどのような影響を与えるのかについても考察していきたい。

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Presenter 2 (発表者 2):Tomohiro Inoue(井上 智裕)

Title (題名):Application of a method for detections of slow slip events in Nankai region using ocean bottom pressure recorded by the Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamis (DONET) / DONET観測網に記録された海底圧力を用いた南海地域におけるSSE検出手法の適用

Abstract (要旨):
 海底圧力計は短期的なSSE時の海底地殻変動を検知するために使用され、利点として鉛直方向に高い解像度約2cmの高い解像度を持つ。しかし、デメリットとして圧力計記録に海洋起源の圧力変動を含んでしまうことが問題となっている(Muramoto et al., 2019)。最近では、その問題を解決するために、2つの解析手法(複数観測点手法、単独観測点手法)が用いられている。複数観測点手法は、観測点のペアを作り、観測点同士で圧力値を差し引き、低減する手法である一方で、単独観測点手法では、個々の観測点に対して、モデル化された海洋起源の圧力変動を差し引き、低減する手法である。特に、複数観測点の手法では、カスカディアやヒクランギ沈み込み帯において、観測点ペアを網羅的にとり、観測点間の波形の類似性を調べられており、等水深に参照観測点を設定すると、大幅な海洋起源の圧力変動の減少が見られることがわかった(Fredrickson et al., 2019; Inoue et al., 2021)。
 本発表では、複数観測点手法を用いて、海洋起源の圧力変動を取り除き、その時系列を用いて、南海地域における浅部SSEに伴う海底地殻変動を検出することを試みた。本発表で用いた解析手法は、観測差分圧力時系列から計算されるΔAIC(赤池情報量規準の差)と海洋モデルによる差分圧力時系列から計算されるΔAICを用いたSSE候補日の抽出を行った。その後、SSE候補日における海底圧力とGNSSの観測変位を用いて、矩形断層1枚の震源モデルのパラメータ推定を行い、推定されたパラメータによってSSE候補日のclass分けを行った。
 議論では、検出されたSSE候補日と他のスロー地震との時空間分布の比較、検知テストなどを行う。

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今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。

Here is information of the Unagi-seminar(November 25).

************** Seminar on Seismology IV B, D /地震学ゼミナールIV B, D (Unagi Seminar) **************

科目:地震学ゼミナールIV B, D / Seminar on Seismology IV B, D(修士・博士)
日時:2021年 11月 25日 (木) 14:00~
場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)

Date and Time:2021-11-25, 14:00~
Place:Uji Campus Main Building E232D or Zoom (Hybrid)

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Speaker 1 (発表者 1):野木ひかり

Title (題名):2017年長野県南部の地震(Mj5.6)の断層近傍における応力場推定

Abstract (要旨):
 内陸地震の発生には応力場が密接に関係しており、地震発生過程を理解するためには、地殻の応力状態を知ることが重要である。例えばKawanishi et al.(2009)では、2000年鳥取県西部地震 (Mw=6.6) の稠密余震観測で得られた余震データを使用して応力インバージョン法により詳細な応力場を推定し、中国地方の地震帯において、それ以外の領域に比べて最大圧縮応力の向きが回転していることを示唆した。この空間変化は、地震帯直下の下部地殻の不均質構造を仮定した有限要素法による応力場のパターンと整合的であり、断層上の延性的なすべりによる影響で説明できることが報告された。 本研究では、長野県西部地域における稠密地震観測で得られた地震データを用いて、2017年6月25日に発生した長野県南部の地震(Mj=5.6)の断層近傍の詳細な応力場を推定し、空間的な不均質性を調べた。
 応力インバージョンの計算には、Iio et al.(2017)よる、断層面上で生じるすべりの方向が断層面に働く剪断応力の方向と平行であるとするWallace-Bott仮説と、解析領域内の応力場は時空間的に一様であるという仮定を用いて、解析に用いる地震に関して、観測されたすべりの方向と理論的なそれとの差 (ミスフィット角) の二乗和を最小とする方法を用いて、グリッドサーチにより求めた。
 応力インバージョンの結果、断層近傍において応力の局所的な空間変化が見られた。本解析領域全体における最大圧縮応力のazimuthの平均は西南西-東南東方向であり、これはTerakawa et al.(2013)における、本研究で解析に用いた領域を含む広域のazimuthと比較すると、やや東-西に近い向きであった。また長野県南部の地震の西側の一部(深さ2-3km)では、azimuthが北西-南東から北北西-南南東方向であり、応力比は周囲と比べて低い傾向が見られた。これはYukutake et al.(2010)にて報告された特徴と同様の応力場のパターンを示している。さらに、長野県西部地震の断層の南側 (深さ4-5km)では一部、azimuthが東-西方向へと回転している領域が見られた。これより、本解析領域全体におけるazimuthの平均が西北西-東南東であるのに対して、一部北西-南東から北北西-南南東を示す領域や東-西方向など、平均的な応力パターンとは異なる不均一構造の存在が考えられる。しかしながら、応力の局所的な空間変化を示す一部の領域では、ミスフィット角が明確な最小値を示していないため、解の精度評価についても検討する。また、応力の空間変化が見られる領域下での非地震性すべりの可能性や、それが地震発生にどのような影響を与えるのかについても考察していきたい。

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Presenter 2 (発表者 2):Tomohiro Inoue(井上 智裕)

Title (題名):Application of a method for detections of slow slip events in Nankai region using ocean bottom pressure recorded by the Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamis (DONET) / DONET観測網に記録された海底圧力を用いた南海地域におけるSSE検出手法の適用

Abstract (要旨):
 海底圧力計は短期的なSSE時の海底地殻変動を検知するために使用され、利点として鉛直方向に高い解像度約2cmの高い解像度を持つ。しかし、デメリットとして圧力計記録に海洋起源の圧力変動を含んでしまうことが問題となっている(Muramoto et al., 2019)。最近では、その問題を解決するために、2つの解析手法(複数観測点手法、単独観測点手法)が用いられている。複数観測点手法は、観測点のペアを作り、観測点同士で圧力値を差し引き、低減する手法である一方で、単独観測点手法では、個々の観測点に対して、モデル化された海洋起源の圧力変動を差し引き、低減する手法である。特に、複数観測点の手法では、カスカディアやヒクランギ沈み込み帯において、観測点ペアを網羅的にとり、観測点間の波形の類似性を調べられており、等水深に参照観測点を設定すると、大幅な海洋起源の圧力変動の減少が見られることがわかった(Fredrickson et al., 2019; Inoue et al., 2021)。
 本発表では、複数観測点手法を用いて、海洋起源の圧力変動を取り除き、その時系列を用いて、南海地域における浅部SSEに伴う海底地殻変動を検出することを試みた。本発表で用いた解析手法は、観測差分圧力時系列から計算されるΔAIC(赤池情報量規準の差)と海洋モデルによる差分圧力時系列から計算されるΔAICを用いたSSE候補日の抽出を行った。その後、SSE候補日における海底圧力とGNSSの観測変位を用いて、矩形断層1枚の震源モデルのパラメータ推定を行い、推定されたパラメータによってSSE候補日のclass分けを行った。
 議論では、検出されたSSE候補日と他のスロー地震との時空間分布の比較、検知テストなどを行う。

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© Research Center for Earthquake Hazards.

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