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うなぎセミナー 11/9

うなぎセミナー 11/9

セミナー等

SEMINARS

更新日:2023.04.12

Updated: 2023.04.12

  • 開催場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)
  • Place: 京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)
  • 開催日時:2023年11月9日(木) 13時30分~
  • Date and Time: 2023年11月9日(木) 13時30分~

今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。

Here is information of the Unagi-seminar(November, 9).

************** Seminar on Seismology IV B, D /地震学ゼミナールIV B, D (Unagi Seminar) **************

科目:地震学ゼミナールIV B, D / Seminar on Seismology IV B, D(修士・博士)
日時:2023年 11月 9日 (木) 13:30~
場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)

Date and Time:2023-11-09, 13:30~
Place:Uji Campus Main Building E232D or Zoom (Hybrid)

   Please join the seminar on-site, especially students who need credit.

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Speaker(発表者)1: 松尾 凌(Ryo Matsuo)

Title(題目): 遠地地震による動的誘発から推定する日本各地の誘発のされやすさの定量的評価

Abstract:
 地震の誘発とは応力変化等の擾乱が場に作用することで地震が発生する現象のことである。力学的側面に注目すると、地震発生後の断層の永久変位による静的歪み変化によって地震が誘発される静的誘発と、比較的大規模な地震による表面波などが応力擾乱をもたらしながら伝播し遠隔地で別の地震を誘発する動的誘発が存在する。本研究では後者に着目し、大規模な遠地地震が動的誘発する地震活動を考える。遠地地震の動的誘発は、地震波伝播に伴う動的な応力変化量が静的応力変化量よりも距離減衰が小さいため、遠地の別の地震の誘発に寄与していると考えられているが、そのメカニズムは十分に解明されていない。近年、世界規模で地震観測網が密になったことで動的誘発に関する事例が多く報告されているが、定量的な研究は十分に進んでいない。
 地震の誘発のメカニズム解明や遠地地震が誘発する地震活動の発生頻度、発生法則、発生場所等の正確な予測を可能にするためには、地震の震源域内の誘発のされやすさを定量的に評価する必要がある。そこで本研究では、世界各地の遠地地震の動的誘発に着目し、遠地地震によって動的に誘発された日本の地震活動と、日本各地の誘発のされやすさとの関係を定量的に評価する。
 世界には動的に誘発された地震活動が多数報告されているが、誘発のされやすさの指標を定義した主な研究はvan der Elst &Brodsky(2010)に限定される。この先行研究は、誘発のされやすさの指標としてn値(triggering intensity)を定義し、南カリフォルニア地域の誘発のされやすさの地域性と、歪み変化との関係を明らかにしたという点で極めて重要である。本研究では、高質な気象庁一元化震源カタログと動的誘発地震の多数の観測例という日本の利点を活かし、地震活動を規格化し、日本全体を区画ごとに分けてn値によって誘発のされやすさを定量的に評価する。
 本研究で用いる遠地地震にはANSSの地震カタログ記載のM6以上を選び、動的誘発を調べる。日本列島の地震活動には気象庁一元化処理震源を用いた。続いて日本列島を0.1°×0.1°のグリッドに分け、日本列島のn値の空間分布を求めた。グリッドビン内に最低8個の地震があり、マグニチュード0.5以上の地震があるグリッドのみで計算を行った。ところが、この解析方法には、気象庁マグニチュードによる内陸部の微小地震の過小評価や、海域のn値を正確に算出できていないことなどの課題がある。そこで、カタログが網羅できている地震のマグニチュードの下限であるMc(completeness magnitude)を導入し、日本列島を0.1°×0.1°のグリッドに分け、2012年から2021年までのMcをビン内に最低100個以上の地震がある条件の下で求めた。その後このMcを考慮して、2012年から2021年までの10年分の気象庁一元化処理震源のデータを解析し日本列島のn値の空間分布を求めると、n値が0.4以上の極めて大きな地域や-0.4以下の極めて小さな地域は見られなかった。
 加えて、Peak Ground Velocityと地震の誘発のされやすさを表すn値とを比較してnの分布を求め、Miyazawa et al.2021の結果との対応を見た。

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Speaker(発表者)2: 小出鯉太郎 (Koitaro Koide)

Title(題目): 弾性-粘弾性媒質中の断層が作る非直観的な変位場について

Abstract:
 断層が作る変形には直観的でないものがある.例えば,岡田 (2003) は半無限弾性媒質において,逆断層運動が起こった際に,下盤側に沈降が生じずに上盤と共に幅広く隆起する場合があることを示し,その原因について説明している.また、越後平野は新潟神戸歪み集中帯と知られる顕著な短縮場に位置するが,非常に厚い堆積層が発達し長期的に沈降している.地殻が短縮した場合には隆起が生じるのが当然と考えられるため,このような大規模な沈降運動も直感的には理解できない (飯尾, 2009).また,飛騨山脈では東側に地形に松本盆地などの地形の境界がみられる.それにもかかわらず東麓には東傾斜の逆断層はなく、これも非直観的な地形発達である(池田, 1990; 原山ほか, 2003)
 このような非直観的な地形の理解を目指し,弾性-粘弾性の2層構造の場合においても逆断層が作る変位場をFukahata & Matsu'ura (2005, 2006)の半解析解を用いて計算した.また,計算で得られた非直観的な変位場について物理的な解釈をおこなったので紹介する.

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今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。

Here is information of the Unagi-seminar(November, 9).

************** Seminar on Seismology IV B, D /地震学ゼミナールIV B, D (Unagi Seminar) **************

科目:地震学ゼミナールIV B, D / Seminar on Seismology IV B, D(修士・博士)
日時:2023年 11月 9日 (木) 13:30~
場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)

Date and Time:2023-11-09, 13:30~
Place:Uji Campus Main Building E232D or Zoom (Hybrid)

   Please join the seminar on-site, especially students who need credit.

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Speaker(発表者)1: 松尾 凌(Ryo Matsuo)

Title(題目): 遠地地震による動的誘発から推定する日本各地の誘発のされやすさの定量的評価

Abstract:
 地震の誘発とは応力変化等の擾乱が場に作用することで地震が発生する現象のことである。力学的側面に注目すると、地震発生後の断層の永久変位による静的歪み変化によって地震が誘発される静的誘発と、比較的大規模な地震による表面波などが応力擾乱をもたらしながら伝播し遠隔地で別の地震を誘発する動的誘発が存在する。本研究では後者に着目し、大規模な遠地地震が動的誘発する地震活動を考える。遠地地震の動的誘発は、地震波伝播に伴う動的な応力変化量が静的応力変化量よりも距離減衰が小さいため、遠地の別の地震の誘発に寄与していると考えられているが、そのメカニズムは十分に解明されていない。近年、世界規模で地震観測網が密になったことで動的誘発に関する事例が多く報告されているが、定量的な研究は十分に進んでいない。
 地震の誘発のメカニズム解明や遠地地震が誘発する地震活動の発生頻度、発生法則、発生場所等の正確な予測を可能にするためには、地震の震源域内の誘発のされやすさを定量的に評価する必要がある。そこで本研究では、世界各地の遠地地震の動的誘発に着目し、遠地地震によって動的に誘発された日本の地震活動と、日本各地の誘発のされやすさとの関係を定量的に評価する。
 世界には動的に誘発された地震活動が多数報告されているが、誘発のされやすさの指標を定義した主な研究はvan der Elst &Brodsky(2010)に限定される。この先行研究は、誘発のされやすさの指標としてn値(triggering intensity)を定義し、南カリフォルニア地域の誘発のされやすさの地域性と、歪み変化との関係を明らかにしたという点で極めて重要である。本研究では、高質な気象庁一元化震源カタログと動的誘発地震の多数の観測例という日本の利点を活かし、地震活動を規格化し、日本全体を区画ごとに分けてn値によって誘発のされやすさを定量的に評価する。
 本研究で用いる遠地地震にはANSSの地震カタログ記載のM6以上を選び、動的誘発を調べる。日本列島の地震活動には気象庁一元化処理震源を用いた。続いて日本列島を0.1°×0.1°のグリッドに分け、日本列島のn値の空間分布を求めた。グリッドビン内に最低8個の地震があり、マグニチュード0.5以上の地震があるグリッドのみで計算を行った。ところが、この解析方法には、気象庁マグニチュードによる内陸部の微小地震の過小評価や、海域のn値を正確に算出できていないことなどの課題がある。そこで、カタログが網羅できている地震のマグニチュードの下限であるMc(completeness magnitude)を導入し、日本列島を0.1°×0.1°のグリッドに分け、2012年から2021年までのMcをビン内に最低100個以上の地震がある条件の下で求めた。その後このMcを考慮して、2012年から2021年までの10年分の気象庁一元化処理震源のデータを解析し日本列島のn値の空間分布を求めると、n値が0.4以上の極めて大きな地域や-0.4以下の極めて小さな地域は見られなかった。
 加えて、Peak Ground Velocityと地震の誘発のされやすさを表すn値とを比較してnの分布を求め、Miyazawa et al.2021の結果との対応を見た。

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Speaker(発表者)2: 小出鯉太郎 (Koitaro Koide)

Title(題目): 弾性-粘弾性媒質中の断層が作る非直観的な変位場について

Abstract:
 断層が作る変形には直観的でないものがある.例えば,岡田 (2003) は半無限弾性媒質において,逆断層運動が起こった際に,下盤側に沈降が生じずに上盤と共に幅広く隆起する場合があることを示し,その原因について説明している.また、越後平野は新潟神戸歪み集中帯と知られる顕著な短縮場に位置するが,非常に厚い堆積層が発達し長期的に沈降している.地殻が短縮した場合には隆起が生じるのが当然と考えられるため,このような大規模な沈降運動も直感的には理解できない (飯尾, 2009).また,飛騨山脈では東側に地形に松本盆地などの地形の境界がみられる.それにもかかわらず東麓には東傾斜の逆断層はなく、これも非直観的な地形発達である(池田, 1990; 原山ほか, 2003)
 このような非直観的な地形の理解を目指し,弾性-粘弾性の2層構造の場合においても逆断層が作る変位場をFukahata & Matsu'ura (2005, 2006)の半解析解を用いて計算した.また,計算で得られた非直観的な変位場について物理的な解釈をおこなったので紹介する.

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© Research Center for Earthquake Hazards.

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