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うなぎセミナー 1/12

うなぎセミナー 1/12

セミナー等

SEMINARS

更新日:2016.04.12

Updated: 2016.04.12

  • 開催場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D
  • Place: 京都大学 防災研究所 本館E-232D
  • 開催日時:2017年1月12日(木) 14時00分~
  • Date and Time: 2017年1月12日(木) 14時00分~

今週のうなぎセミナーについてご案内いたします。

**************♦ うなぎセミナーのご案内 ♦**************

日時:1月12日(木)14:00~16:00
場所:宇治キャンパス本館E棟2階E-232D
   (地震予知研究センター本館セミナー室)

まずはじめに石田さんと植村さんと村本さんが前回セミナーの質問サマリーについて講演し、次に下記の内容で高橋さんが講演いたします。


[発表者]
髙橋温志

[タイトル]
球体の効果を加味したGPSデータのクラスタリング手法の開発

[概要]
地球表層の運動は,剛体的なブロック(プレート)同士の相対運動で近似的に表せる.しかし,各ブロックの境界は活断層や地溝といった地形的および地質的な構造に基づいて推定されてきたため任意性が残り,研究者間で統一的な見解を持つに至っていない場所も少なくない.そのような中で,近年GNSS速度データを統計的に解析することにより,空間的に良い相関をもって運動する地域を抽出し,運動ブロックの境界を客観的に認定する研究が成果を挙げている(Simpson et al. 2012, GRL, Savage and Simpson, 2013, JGR).

しかし,これらの手法はまず速度データに基づいてクラスタリングを行う必要があり,狭い領域ではうまく機能するが,全地球規模では観測点での速度のみによる比較が意味を成さないため適用できない.例えばSavage and Wells (2015, JGR)はアメリカ西海岸全域を先行研究の手法を用いて解析したが,球面の効果が無視できないため,速度空間上のみでのクラスタ解析からブロック境界を検出するには限界があることを指摘している.そこで本研究では,全地球規模で適用可能な方法として,各ブロックのオイラー・ベクトルを,角速度空間において直接クラスタリングすることを試みる.

定式化

球面上の運動は,オイラー極の周りの回転運動として表される.具体的には,観測点の地理座標()とオイラー・ベクトル()の外積が観測される速度()になる,この条件を変形することにより,任意の観測点の任意の運動を説明するオイラー・ベクトルの存在範囲は,角速度空間上で直線として表せることが分かった:

つまり,各観測データから得られた直線の会合点が,その地域の運動を表すオイラー・ベクトルの値に対応する.

本研究では,会合点を見出すために,各直線同士の距離を表すマトリクスを作成し,ブロック行列を抜き出した.抜き出された各コミュニティーが,共通のオイラー・ベクトルを持つ運動ブロックに対応する.

結果と考察

Simpson et al. (2012)と同じデータセットに適用したところ,4つのブロック行列を抽出することができた(図1A, B).これはSimpson et al. (2012)の結果とよく一致する(図1C, D).地理的に狭い範囲では地理座標に依存する項が同様の値となるので,既存の方法と同じくほぼ速度データのみに基づいてクラスタが決まるためである.一方より広域のデータ(Savage and Wells 2015)への適用結果はあまり活断層と良い対応を示さなかった.

 


**************♦ 皆さまのご来聴をお待ちしています ♦**************


今後の予定
1月12日:高橋
1月19日:野田(教員枠)
1月30日・31日:修論予行

今週のうなぎセミナーについてご案内いたします。

**************♦ うなぎセミナーのご案内 ♦**************

日時:1月12日(木)14:00~16:00
場所:宇治キャンパス本館E棟2階E-232D
   (地震予知研究センター本館セミナー室)

まずはじめに石田さんと植村さんと村本さんが前回セミナーの質問サマリーについて講演し、次に下記の内容で高橋さんが講演いたします。


[発表者]
髙橋温志

[タイトル]
球体の効果を加味したGPSデータのクラスタリング手法の開発

[概要]
地球表層の運動は,剛体的なブロック(プレート)同士の相対運動で近似的に表せる.しかし,各ブロックの境界は活断層や地溝といった地形的および地質的な構造に基づいて推定されてきたため任意性が残り,研究者間で統一的な見解を持つに至っていない場所も少なくない.そのような中で,近年GNSS速度データを統計的に解析することにより,空間的に良い相関をもって運動する地域を抽出し,運動ブロックの境界を客観的に認定する研究が成果を挙げている(Simpson et al. 2012, GRL, Savage and Simpson, 2013, JGR).

しかし,これらの手法はまず速度データに基づいてクラスタリングを行う必要があり,狭い領域ではうまく機能するが,全地球規模では観測点での速度のみによる比較が意味を成さないため適用できない.例えばSavage and Wells (2015, JGR)はアメリカ西海岸全域を先行研究の手法を用いて解析したが,球面の効果が無視できないため,速度空間上のみでのクラスタ解析からブロック境界を検出するには限界があることを指摘している.そこで本研究では,全地球規模で適用可能な方法として,各ブロックのオイラー・ベクトルを,角速度空間において直接クラスタリングすることを試みる.

定式化

球面上の運動は,オイラー極の周りの回転運動として表される.具体的には,観測点の地理座標()とオイラー・ベクトル()の外積が観測される速度()になる,この条件を変形することにより,任意の観測点の任意の運動を説明するオイラー・ベクトルの存在範囲は,角速度空間上で直線として表せることが分かった:

つまり,各観測データから得られた直線の会合点が,その地域の運動を表すオイラー・ベクトルの値に対応する.

本研究では,会合点を見出すために,各直線同士の距離を表すマトリクスを作成し,ブロック行列を抜き出した.抜き出された各コミュニティーが,共通のオイラー・ベクトルを持つ運動ブロックに対応する.

結果と考察

Simpson et al. (2012)と同じデータセットに適用したところ,4つのブロック行列を抽出することができた(図1A, B).これはSimpson et al. (2012)の結果とよく一致する(図1C, D).地理的に狭い範囲では地理座標に依存する項が同様の値となるので,既存の方法と同じくほぼ速度データのみに基づいてクラスタが決まるためである.一方より広域のデータ(Savage and Wells 2015)への適用結果はあまり活断層と良い対応を示さなかった.

 


**************♦ 皆さまのご来聴をお待ちしています ♦**************


今後の予定
1月12日:高橋
1月19日:野田(教員枠)
1月30日・31日:修論予行

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© Research Center for Earthquake Hazards.

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