更新日:2021.04.08
Updated: 2021.04.08
今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。
Here is information of the Unagi-seminar(December 9).
************** Seminar on Seismology IV B, D /地震学ゼミナールIV B, D (Unagi Seminar) **************
科目:地震学ゼミナールIV B, D / Seminar on Seismology IV B, D(修士・博士)
日時:2021年 12月 9日 (木) 14:00~
場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)
Date and Time:2021-12-9, 14:00~
Place:Uji Campus Main Building E232D or Zoom (Hybrid)
====
Speaker 1 (発表者 1):西沢貴志
Title (題名):撓みの観点から見たプレート間の相互作用に関する考察
Abstract (要旨):
定常沈み込みの3次元Dislocationモデルによって計算された日本周辺の隆起速度が, 現実のフリーエア重力異常パターン(島弧で正, 海溝で負, 外縁隆起帯で正)とよく対応することが示されている(Hashimoto et al., 2004). この対応関係はFukahata&Matsuu’ra(2016)によりプレート間の相互作用の結果であるとして理論的に説明されているが, その相互作用の定量的な見積もりは未だなされていない.
そこで本発表では全世界の沈み込み帯を対象に, 島弧および外縁隆起帯のフリーエア重力異常を調査し, その相関関係について考察する. フリーエア重力異常の生データには海山や台地等の短波長の地形がノイズとして現れるため, 前処理としていくつかの操作を行った. 具体的には, 各海溝の座標データを円弧にフィッティングさせて, それに直行する複数のプロファイルに従い, 重力異常データのサンプリングを行った. 加えて, このデータに対しBassett et al(2015)等で使用された周波数ドメインでのアンサンブル平均化処理を施し, 対象領域を代表するプロファイルを取得した. また, この結果から2次元で見た時の外縁隆起帯の面積がプレート間の相互作用を定量的に表すことができると考え, 同様に調査し, その結果について考察する.
............................................................................................................................................................
Presenter 2 (発表者 2):Yasunori Sawaki (佐脇泰典)
Title (題名):Marine sediment property at the Hyuga Terrace off southern Kyushu by receiver function H-k stacks
(H-kスタッキング法から推定した日向海段の海底堆積層の特徴)
Abstract (要旨):
地下構造,特に地震波速度境界を検出する手法として「レシーバ関数法」(Ammon et al., 1991) があるが,海底下の沈み込むスラブを検出するために,レシーバ関数法を海底地震計データに適用した研究例が近年増えてきた(e.g., Akuhara & Mochizuki, 2015; Akuhara et al., 2017; Audet & Schaeffer, 2018; Kim et al., 2021).海底では,地震波速度の遅い堆積物が基盤岩を覆っており,基盤岩との間に大きな音響インピーダンス差を生み出すため,遠地地震波を変換・大きく屈折させてしまう.ほぼ鉛直入射となった遠地地震波線は,上下動成分の振幅を増幅させるとともに,水平動成分には遅れ時間 tPs を持つ堆積層底面PS変換波を生じさせる.海底地震計から計算したレシーバ関数の深さイメージングを行う上で,海底堆積層による影響を適切に評価する必要がある(Kim et al., 2021).本研究では,南海沈み込み帯西端の日向灘に設置された海底地震計で記録された遠地地震波形からレシーバ関数を計算し,日向海段の海底堆積層の層厚と平均Vp/Vsを調べた.
レシーバ関数の計算には,Iterative time-domain deconvolution法(Ligorria & Ammon, 1999)を使用し,海底堆積層の層厚とVp/Vsの推定には,H-kスタッキング法(Zhu & Kanamori, 2000)を用いた.ただし,堆積層は水平・均質・等方的な単層であると仮定とした.水平動センサー方位は,Rayleigh波振動方向(Stachnik et al., 2012)から推定し,方位推定誤差が十分に小さい観測点を選別した.また,Haskell matrix法に海水層を取り入れた理論波形計算を行い,海底地震計のレシーバ関数と比較した.
遅れ時間 tPs, 堆積層厚,Vp/Vsのいずれについても,顕著な地域差は見られなかったが,九州パラオ海嶺直上の観測点では,遅れ時間 tPs が周囲と比べ短い傾向が見られた.堆積層厚については,カタログ値(Divins, 2003; Straume et al., 2019)と比較して,厚くなっている観測点が多かった.平均Vp/Vsは,紀伊半島沖の推定値3.0-5.3 (Akuhara et al., 2017)より低い結果となったが,海底地質の違いが関係しているのかもしれない.
====
今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。
Here is information of the Unagi-seminar(December 9).
************** Seminar on Seismology IV B, D /地震学ゼミナールIV B, D (Unagi Seminar) **************
科目:地震学ゼミナールIV B, D / Seminar on Seismology IV B, D(修士・博士)
日時:2021年 12月 9日 (木) 14:00~
場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)
Date and Time:2021-12-9, 14:00~
Place:Uji Campus Main Building E232D or Zoom (Hybrid)
====
Speaker 1 (発表者 1):西沢貴志
Title (題名):撓みの観点から見たプレート間の相互作用に関する考察
Abstract (要旨):
定常沈み込みの3次元Dislocationモデルによって計算された日本周辺の隆起速度が, 現実のフリーエア重力異常パターン(島弧で正, 海溝で負, 外縁隆起帯で正)とよく対応することが示されている(Hashimoto et al., 2004). この対応関係はFukahata&Matsuu’ra(2016)によりプレート間の相互作用の結果であるとして理論的に説明されているが, その相互作用の定量的な見積もりは未だなされていない.
そこで本発表では全世界の沈み込み帯を対象に, 島弧および外縁隆起帯のフリーエア重力異常を調査し, その相関関係について考察する. フリーエア重力異常の生データには海山や台地等の短波長の地形がノイズとして現れるため, 前処理としていくつかの操作を行った. 具体的には, 各海溝の座標データを円弧にフィッティングさせて, それに直行する複数のプロファイルに従い, 重力異常データのサンプリングを行った. 加えて, このデータに対しBassett et al(2015)等で使用された周波数ドメインでのアンサンブル平均化処理を施し, 対象領域を代表するプロファイルを取得した. また, この結果から2次元で見た時の外縁隆起帯の面積がプレート間の相互作用を定量的に表すことができると考え, 同様に調査し, その結果について考察する.
............................................................................................................................................................
Presenter 2 (発表者 2):Yasunori Sawaki (佐脇泰典)
Title (題名):Marine sediment property at the Hyuga Terrace off southern Kyushu by receiver function H-k stacks
(H-kスタッキング法から推定した日向海段の海底堆積層の特徴)
Abstract (要旨):
地下構造,特に地震波速度境界を検出する手法として「レシーバ関数法」(Ammon et al., 1991) があるが,海底下の沈み込むスラブを検出するために,レシーバ関数法を海底地震計データに適用した研究例が近年増えてきた(e.g., Akuhara & Mochizuki, 2015; Akuhara et al., 2017; Audet & Schaeffer, 2018; Kim et al., 2021).海底では,地震波速度の遅い堆積物が基盤岩を覆っており,基盤岩との間に大きな音響インピーダンス差を生み出すため,遠地地震波を変換・大きく屈折させてしまう.ほぼ鉛直入射となった遠地地震波線は,上下動成分の振幅を増幅させるとともに,水平動成分には遅れ時間 tPs を持つ堆積層底面PS変換波を生じさせる.海底地震計から計算したレシーバ関数の深さイメージングを行う上で,海底堆積層による影響を適切に評価する必要がある(Kim et al., 2021).本研究では,南海沈み込み帯西端の日向灘に設置された海底地震計で記録された遠地地震波形からレシーバ関数を計算し,日向海段の海底堆積層の層厚と平均Vp/Vsを調べた.
レシーバ関数の計算には,Iterative time-domain deconvolution法(Ligorria & Ammon, 1999)を使用し,海底堆積層の層厚とVp/Vsの推定には,H-kスタッキング法(Zhu & Kanamori, 2000)を用いた.ただし,堆積層は水平・均質・等方的な単層であると仮定とした.水平動センサー方位は,Rayleigh波振動方向(Stachnik et al., 2012)から推定し,方位推定誤差が十分に小さい観測点を選別した.また,Haskell matrix法に海水層を取り入れた理論波形計算を行い,海底地震計のレシーバ関数と比較した.
遅れ時間 tPs, 堆積層厚,Vp/Vsのいずれについても,顕著な地域差は見られなかったが,九州パラオ海嶺直上の観測点では,遅れ時間 tPs が周囲と比べ短い傾向が見られた.堆積層厚については,カタログ値(Divins, 2003; Straume et al., 2019)と比較して,厚くなっている観測点が多かった.平均Vp/Vsは,紀伊半島沖の推定値3.0-5.3 (Akuhara et al., 2017)より低い結果となったが,海底地質の違いが関係しているのかもしれない.
====
© Research Center for Earthquake Hazards.
© Research Center for Earthquake Hazards.