更新日:2025.07.14
Updated: 2025.07.14
今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。
Here is information of the Unagi-seminar(July, 17th).
************** Seminar on Seismology IV A, C /地震学ゼミナールIV A, C (Unagi Seminar) **************
科目:地震学ゼミナールIV A, C / Seminar on Seismology IV A, C(修士・博士)
日時:2025年 7月 17日 (木) 13:30~
場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D
Date and Time:2025-07-17(Thursday), 13:30~
Place:Uji Campus Main Building E232D
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Speaker 1(発表者): 濱野 智光(Tomomitsu HAMANO)
Title(題目):
奥能登におけるDASを用いた地震波観測
Abstract(要旨):
近年、光ファイバケーブルをセンサとしてひずみ変化を検出する技術であるDistributed Acoustic Sensing(DAS)は、インフラ設備の監視、さらには物理探査や地球科学の分野で注目を集めている。DASとは光ファイバケーブル内を伝播するレーザーパルス光のレイリー後方散乱(あとで調べる)の位相変化からケーブルの軸方向のひずみ変化を測定する技術である。DASの利点として、光ファイバケーブルのひずみ変化を超高密度に観測すること、既設のケーブルを使用できることなどが挙げられる。このような利点は地震学においても利用され、Lindsey et al (2020)にみるように、地震波観測においてもDASの使用の有効性が示されている。しかしその一方で、ケーブルが大きくひずんだ際に位相変化の絶対値がπ以上になる(サイクルスキップ)と正しい値が分からない、ケーブルの軸方向のひずみ変化しか計測できない、地震計に比べてS/N比が悪い、などといった様々な課題も抱えている。
我々は、NTT西日本が能登半島に敷設している光ファイバケーブルを用いたDASを行った。使用したケーブルは能登町から珠洲市にかけての全長約28kmの部分である。測定は、2023年1月12日から同3月14日、2023年7月12日から同9月7日、2025年3月18日から同4月23日の期間に行われた。本発表では、地震観測データを基に、DAS記録画像から読み取れる諸特徴、DAS記録を用いた震源決定結果、能登半島でのDAS記録解析における問題点、さらには今後研究として取り組みたい研究内容について述べる。
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Speaker 2(発表者): 辻村 祐里(Yuri TSUJIMURA)
Title(題目):
プレート定常沈み込みによる島弧変形の数値シュミレーション:プレート境界形状の空間変化と沈み込み方向の影響
Abstract(要旨):
海洋プレートがマントルに沈み込んでいくプレート沈み込み帯では、島弧-海溝系が形成される。島弧-海溝系は、島弧が高く海溝が低い地形およびフリーエア重力異常で特徴づけられる。海洋プレートの沈み込み運動が、沈み込み帯における地殻の変形やフリーエア重力異常の形成に大きく影響すると考えられている。このようなプレートの沈み込みによる島弧の変形の物理的メカニズムとして、Fukahata & Matsu’ura (2016)は、プレート境界面に沿って生じる重力場下の海陸両プレートの回転運動を提案し、数値シュミレーションでその有効性を示した。さらに、森(2020)は、シンプルな3次元形状として海溝軸が屈曲している場合について計算し海溝軸が島弧側に凸に屈曲しているとき屈曲部周辺の島弧側に顕著な沈降域が現れることを示した。この結果は、千島海溝と⽇本海溝の接合部で、島弧側に⼤きな負のフリーエア重⼒異常が広がっていることと整合する。 一方、南海トラフに沿う海洋プレートの沈み込みでは、海溝軸がほとんど屈曲していないにも関わらず、例えば伊勢湾から琵琶湖を通り若狭湾にかけて伸びる沈降域が観察される。しかし、その成因は未だ詳しく解明されていない。そこで本研究では沈み込み帯の変位の食い違いモデル(Matsu’ura & Sato 1989)に基づき、プレート境界形状の島弧走行方向の変化による影響並びに沈み込み方向の影響詳しく調べることで、島弧変形メカニズムを物理的に理解するとともに、現実の大地形の成因を理解することを目指す。
現段階では研究が十分に進んでいないため、今回の発表では主に先行研究の概要と今後の展望や目標について述べる。
今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。
Here is information of the Unagi-seminar(July, 17th).
************** Seminar on Seismology IV A, C /地震学ゼミナールIV A, C (Unagi Seminar) **************
科目:地震学ゼミナールIV A, C / Seminar on Seismology IV A, C(修士・博士)
日時:2025年 7月 17日 (木) 13:30~
場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D
Date and Time:2025-07-17(Thursday), 13:30~
Place:Uji Campus Main Building E232D
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Speaker 1(発表者): 濱野 智光(Tomomitsu HAMANO)
Title(題目):
奥能登におけるDASを用いた地震波観測
Abstract(要旨):
近年、光ファイバケーブルをセンサとしてひずみ変化を検出する技術であるDistributed Acoustic Sensing(DAS)は、インフラ設備の監視、さらには物理探査や地球科学の分野で注目を集めている。DASとは光ファイバケーブル内を伝播するレーザーパルス光のレイリー後方散乱(あとで調べる)の位相変化からケーブルの軸方向のひずみ変化を測定する技術である。DASの利点として、光ファイバケーブルのひずみ変化を超高密度に観測すること、既設のケーブルを使用できることなどが挙げられる。このような利点は地震学においても利用され、Lindsey et al (2020)にみるように、地震波観測においてもDASの使用の有効性が示されている。しかしその一方で、ケーブルが大きくひずんだ際に位相変化の絶対値がπ以上になる(サイクルスキップ)と正しい値が分からない、ケーブルの軸方向のひずみ変化しか計測できない、地震計に比べてS/N比が悪い、などといった様々な課題も抱えている。
我々は、NTT西日本が能登半島に敷設している光ファイバケーブルを用いたDASを行った。使用したケーブルは能登町から珠洲市にかけての全長約28kmの部分である。測定は、2023年1月12日から同3月14日、2023年7月12日から同9月7日、2025年3月18日から同4月23日の期間に行われた。本発表では、地震観測データを基に、DAS記録画像から読み取れる諸特徴、DAS記録を用いた震源決定結果、能登半島でのDAS記録解析における問題点、さらには今後研究として取り組みたい研究内容について述べる。
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Speaker 2(発表者): 辻村 祐里(Yuri TSUJIMURA)
Title(題目):
プレート定常沈み込みによる島弧変形の数値シュミレーション:プレート境界形状の空間変化と沈み込み方向の影響
Abstract(要旨):
海洋プレートがマントルに沈み込んでいくプレート沈み込み帯では、島弧-海溝系が形成される。島弧-海溝系は、島弧が高く海溝が低い地形およびフリーエア重力異常で特徴づけられる。海洋プレートの沈み込み運動が、沈み込み帯における地殻の変形やフリーエア重力異常の形成に大きく影響すると考えられている。このようなプレートの沈み込みによる島弧の変形の物理的メカニズムとして、Fukahata & Matsu’ura (2016)は、プレート境界面に沿って生じる重力場下の海陸両プレートの回転運動を提案し、数値シュミレーションでその有効性を示した。さらに、森(2020)は、シンプルな3次元形状として海溝軸が屈曲している場合について計算し海溝軸が島弧側に凸に屈曲しているとき屈曲部周辺の島弧側に顕著な沈降域が現れることを示した。この結果は、千島海溝と⽇本海溝の接合部で、島弧側に⼤きな負のフリーエア重⼒異常が広がっていることと整合する。 一方、南海トラフに沿う海洋プレートの沈み込みでは、海溝軸がほとんど屈曲していないにも関わらず、例えば伊勢湾から琵琶湖を通り若狭湾にかけて伸びる沈降域が観察される。しかし、その成因は未だ詳しく解明されていない。そこで本研究では沈み込み帯の変位の食い違いモデル(Matsu’ura & Sato 1989)に基づき、プレート境界形状の島弧走行方向の変化による影響並びに沈み込み方向の影響詳しく調べることで、島弧変形メカニズムを物理的に理解するとともに、現実の大地形の成因を理解することを目指す。
現段階では研究が十分に進んでいないため、今回の発表では主に先行研究の概要と今後の展望や目標について述べる。
© Research Center for Earthquake Hazards.
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