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うなぎセミナー 4/26

うなぎセミナー 4/26

セミナー等

SEMINARS

更新日:2018.04.07

Updated: 2018.04.07

  • 開催場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D
  • Place: 京都大学 防災研究所 本館E-232D
  • 開催日時:2018年4月26日(木) 14時00分~
  • Date and Time: 2018年4月26日(木) 14時00分~

今週のセミナーについて連絡いたします。

**************♦ うなぎセミナーのご案内 (Unagi-seminar) ♦**************

日時: 4月26日(木)14:00~16:00
場所: 宇治キャンパス本館E棟2階E-232D
   (地震予知研究センター本館セミナー室)

Date and time: 26th April, 14:00 ~ 16:00
Room: E-232D @ Main building
Map: http://www.uji.kyoto-u.ac.jp/campus/map.html

====

[発表者 (Presenter)]
髙橋温志 (Atsushi TAKAHASHI)

[題目 (Title)]
台湾島のGNSSデータの解析
Clustering GNSS data in Taiwan: Investigating tectonic boundaries from geodetic aspect

[要旨 (Abstract)]
台湾島は人気の旅行先である.LCCの普及に伴い,さらに安くて近い旅行先になりつつある.自然を生かした観光名所も多い.新高山(現,玉山)や,大理石の壁が連続して現れる所謂絶景スポットである花蓮のタロコ渓谷などの観光名所の地学的な背景には,台湾島の形成のテクトニクスと深い関りがある.
台湾島は,ユーラシア大陸の大陸棚に,フィリピン海プレート上に載ったLuzon火山弧が衝突して形成された衝突帯である.台湾島東部の海岸山脈と中央山脈の境をなす台東縦谷がユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界に相当し,この前は花蓮市で被害地震が発生した.台東縦谷の西側は東から順に,中央山脈・西部山麓帯・海岸平原と区分される.これらは,ユーラシア大陸の大陸棚に堆積した堆積物が起源であり,東側ほど大きく隆起している.これよりの下位の構造については,研究者によって見解が異なり,テクトニックな境界に関する認識は統一されていない.台湾島では,厚い堆積層の下に隠れている活断層が多いこともこの問題を難しくしている.
一方,高密度のGNSS観測網と統計的手法を組み合わせる方法が,地殻ブロックの境界検出に大きな成果を上げている.例えば,Simpson et al. [2012] やSavage and Simpson [2013]は,GNSSデータのクラスタ解析から,地質情報とは独立に地殻ブロックの境界を推定し,活断層など地質情報と整合的な結果を得ることに成功している.台湾には約300点のGNSS定常観測点が展開されている.本研究では,Simpson et al. [2012]の手法に基づき台湾島の高密度GNSS観測データを階層型凝集クラスタリングアルゴリズムでクラスタリングし,ブロック分けを基にテクトニックな境界の議論を試みた.
ここで議論になるのが,“最適なクラスタ数“という概念である.ある階層での結果を基にしたブロック分けは,階層クラスタ解析の結果の一部に過ぎず,系統樹で表される構造こそがクラスタ解析の結果である.例えばGap統計法など,統計的な評価手法だけでクラスタ数を決めたとしても,有意なテクトニックブロックを検知できるかどうかは実際疑わしい.おそらく,この最適クラスタ数問題には解はない.なぜなら“ブロック”というものの定義がソリッドではないからである.私が思うには,下位の構成要素で上位の構造が構成されるというアルゴリズムの特性を生かした議論の方が生産的であると考えている.(が,この考え方はわかってもらえず2年以上を浪費する羽目になったのでノイズレベルに基づく“有意性”基準を(間に合ったら)導入して議論する.)
得られた解析結果として,台東縦谷東縁に推定されたクラスタ境界は,フィリピン海プレートとユーラシアプレートの運動学的な境界に対応し地質情報とも整合的である.海岸山脈を含むクラスタは,Luzon火山弧の衝突の系列から北東方向に系統的にずれており,これは台湾島東部沖合でのStrain Partitioningを示唆する.台湾島南部ではピントン平原を取り囲むChaochou断層とChishan断層を境界とするクラスタが得られた.このクラスタは明確な内部構造を持ち,さらに細かく分割され,Fengshun断層帯を境として海岸沿いにクラスタ境界が抽出された.Fengshun断層帯は堆積層に埋もれており(Ching et al. 2011),地表のトレースだけでは議論しにくかった.本手法は堆積層に埋もれた活断層を探す上でも有用であることがわかった.一方,1999年のChi-Chi地震の震源断層(Chelungpu断層)はクラスタ境界としては推定されなかった.
以上のことを自己紹介を交えながら話す.

====

[発表者 (Presenter)]
水戸川司 (Tsukasa MITOGAWA)

[題目 (Title)]

GNSSデータ解析による山陰地域ひずみ集中メカニズムの解明
Strain concentration in San’in region revealed by GNSS data analysis

[要旨 (Abstract)]
山陰地域は海岸線を沿うような微小地震帯が存在することや,2000年鳥取県西部地震(M7.3),2016年鳥取県中部地震 (M6.6)などの大地震などが発生することから,地震活動が活発な地域である.また,最近のGNSSデータではひずみ速度が大きいことが知られている地域であるが,1996年から2000年のデータから算出したひずみ速度は小さい地域である.本研究では各観測点の変位速度を線形補間することで,2000年以前のデータでも山陰地域東部にひずみの集中を検出することに成功した.また,山陰地域東部において,GNSSデータによって観測した地表地殻変動を,半無限弾性体中のディスロケーションによってモデル化した.この地域では,NEE-SWS方向の鉛直右横連れ断層運動が地下深部 (20 km以深)でゆっくり (~5mm/yr)と定常的に続いていることで説明できた.


**************♦ 皆さまのご来聴をお待ちしています ♦**************

-------------------今後の予定(Schedule)----------------------

5/10 大柳、伊東
5/17 JpGU予行練習
5/24 (JpGUのため、お休み)
5/31 Qwana、坂上
6/7 (未定)
6/14 植村、片上
6/21 加藤、山村
6/28 三宅、安富
7/5 水戸川、津田
7/12 M1×2
7/19 M1×2

今週のセミナーについて連絡いたします。

**************♦ うなぎセミナーのご案内 (Unagi-seminar) ♦**************

日時: 4月26日(木)14:00~16:00
場所: 宇治キャンパス本館E棟2階E-232D
   (地震予知研究センター本館セミナー室)

Date and time: 26th April, 14:00 ~ 16:00
Room: E-232D @ Main building
Map: http://www.uji.kyoto-u.ac.jp/campus/map.html

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[発表者 (Presenter)]
髙橋温志 (Atsushi TAKAHASHI)

[題目 (Title)]
台湾島のGNSSデータの解析
Clustering GNSS data in Taiwan: Investigating tectonic boundaries from geodetic aspect

[要旨 (Abstract)]
台湾島は人気の旅行先である.LCCの普及に伴い,さらに安くて近い旅行先になりつつある.自然を生かした観光名所も多い.新高山(現,玉山)や,大理石の壁が連続して現れる所謂絶景スポットである花蓮のタロコ渓谷などの観光名所の地学的な背景には,台湾島の形成のテクトニクスと深い関りがある.
台湾島は,ユーラシア大陸の大陸棚に,フィリピン海プレート上に載ったLuzon火山弧が衝突して形成された衝突帯である.台湾島東部の海岸山脈と中央山脈の境をなす台東縦谷がユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界に相当し,この前は花蓮市で被害地震が発生した.台東縦谷の西側は東から順に,中央山脈・西部山麓帯・海岸平原と区分される.これらは,ユーラシア大陸の大陸棚に堆積した堆積物が起源であり,東側ほど大きく隆起している.これよりの下位の構造については,研究者によって見解が異なり,テクトニックな境界に関する認識は統一されていない.台湾島では,厚い堆積層の下に隠れている活断層が多いこともこの問題を難しくしている.
一方,高密度のGNSS観測網と統計的手法を組み合わせる方法が,地殻ブロックの境界検出に大きな成果を上げている.例えば,Simpson et al. [2012] やSavage and Simpson [2013]は,GNSSデータのクラスタ解析から,地質情報とは独立に地殻ブロックの境界を推定し,活断層など地質情報と整合的な結果を得ることに成功している.台湾には約300点のGNSS定常観測点が展開されている.本研究では,Simpson et al. [2012]の手法に基づき台湾島の高密度GNSS観測データを階層型凝集クラスタリングアルゴリズムでクラスタリングし,ブロック分けを基にテクトニックな境界の議論を試みた.
ここで議論になるのが,“最適なクラスタ数“という概念である.ある階層での結果を基にしたブロック分けは,階層クラスタ解析の結果の一部に過ぎず,系統樹で表される構造こそがクラスタ解析の結果である.例えばGap統計法など,統計的な評価手法だけでクラスタ数を決めたとしても,有意なテクトニックブロックを検知できるかどうかは実際疑わしい.おそらく,この最適クラスタ数問題には解はない.なぜなら“ブロック”というものの定義がソリッドではないからである.私が思うには,下位の構成要素で上位の構造が構成されるというアルゴリズムの特性を生かした議論の方が生産的であると考えている.(が,この考え方はわかってもらえず2年以上を浪費する羽目になったのでノイズレベルに基づく“有意性”基準を(間に合ったら)導入して議論する.)
得られた解析結果として,台東縦谷東縁に推定されたクラスタ境界は,フィリピン海プレートとユーラシアプレートの運動学的な境界に対応し地質情報とも整合的である.海岸山脈を含むクラスタは,Luzon火山弧の衝突の系列から北東方向に系統的にずれており,これは台湾島東部沖合でのStrain Partitioningを示唆する.台湾島南部ではピントン平原を取り囲むChaochou断層とChishan断層を境界とするクラスタが得られた.このクラスタは明確な内部構造を持ち,さらに細かく分割され,Fengshun断層帯を境として海岸沿いにクラスタ境界が抽出された.Fengshun断層帯は堆積層に埋もれており(Ching et al. 2011),地表のトレースだけでは議論しにくかった.本手法は堆積層に埋もれた活断層を探す上でも有用であることがわかった.一方,1999年のChi-Chi地震の震源断層(Chelungpu断層)はクラスタ境界としては推定されなかった.
以上のことを自己紹介を交えながら話す.

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[発表者 (Presenter)]
水戸川司 (Tsukasa MITOGAWA)

[題目 (Title)]

GNSSデータ解析による山陰地域ひずみ集中メカニズムの解明
Strain concentration in San’in region revealed by GNSS data analysis

[要旨 (Abstract)]
山陰地域は海岸線を沿うような微小地震帯が存在することや,2000年鳥取県西部地震(M7.3),2016年鳥取県中部地震 (M6.6)などの大地震などが発生することから,地震活動が活発な地域である.また,最近のGNSSデータではひずみ速度が大きいことが知られている地域であるが,1996年から2000年のデータから算出したひずみ速度は小さい地域である.本研究では各観測点の変位速度を線形補間することで,2000年以前のデータでも山陰地域東部にひずみの集中を検出することに成功した.また,山陰地域東部において,GNSSデータによって観測した地表地殻変動を,半無限弾性体中のディスロケーションによってモデル化した.この地域では,NEE-SWS方向の鉛直右横連れ断層運動が地下深部 (20 km以深)でゆっくり (~5mm/yr)と定常的に続いていることで説明できた.


**************♦ 皆さまのご来聴をお待ちしています ♦**************

-------------------今後の予定(Schedule)----------------------

5/10 大柳、伊東
5/17 JpGU予行練習
5/24 (JpGUのため、お休み)
5/31 Qwana、坂上
6/7 (未定)
6/14 植村、片上
6/21 加藤、山村
6/28 三宅、安富
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© Research Center for Earthquake Hazards.

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