更新日:2023.04.12
Updated: 2023.04.12
今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。
Here is information of the Unagi-seminar(June, 1).
************** Seminar on Seismology IV A, C /地震学ゼミナールIV A, C (Unagi Seminar) **************
科目:地震学ゼミナールIV A, C / Seminar on Seismology IV A, C(修士・博士)
日時:2023年 6月 1日 (木) 13:15~
場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)
Date and Time: 2023-06-01, 13:15~
Place: Uji Campus Main Building E232D or Zoom (Hybrid)
Please join the seminar on-site, especially students who need credit.
Speaker: 松尾 凌(Ryo Matsuo)
Title: 遠地地震によって動的に誘発された日本列島における地震活動に関する定量的評価
Abstract:
大規模な地震による表面波などが応力擾乱をもたらしながら伝播することにより、遠隔地で別の地震を誘発することがあるが、この誘発された地震のことを動的誘発地震(遠地誘発地震)と呼ぶ。また、動的誘発地震(遠地誘発地震)に関する数多くの定性的な研究がなされ、近年では世界規模で地震観測網が密になったことにより動的誘発に関する事例が多く報告されているが、定量的な研究は充分に進んでいない。
しかしながら、Velasco et al.(2008)など、大地震後に地球規模の動的誘発地震が数多く観測されている報告例が存在する。動的に誘発された地震活動を定量化した主な研究例には、van der Elst &Brodsky(2010)とMiyazawa et al.(2021)が存在し、前者は、「誘発のされやすさ」の指標を定義し、南カリフォルニア地域の誘発のされやすさの地域性と、歪み変化との関係を明らかにした一方で、後者は、前者をアップロードする形で、地震の検出数が多い高質な地震カタログで検証しており、前述の地域性・歪み変化の関係に加えて誘発された地震の時間減衰を示した。動的誘発地震の報告例は多数あるものの、「誘発のされやすさ」の指標を定義したメジャーな研究は南カリフォルニアのみとなっている。そこで、日本でも動的誘発地震は多く観測されているが、どのような「誘発のされやすさ」の値を持つのかを本研究で検証する。
また、van der Elst &Brodsky(2010)のTriggering intensity ,n値を、「誘発のされやすさ」を表す指標として使い、2020年の日本列島の地震活動の変化を評価する。さらに地震活動を規格化し、日本全体を区画ごとに分けて誘発のされやすさを調べる。2020年の日本列島のn値の空間分布を見ると、このn値が極めて大きな地域として、北海道胆振地方西部、岩手県沖、宮古島沖が挙げられることが分かる。地熱地帯に位置することや大地震後の地殻変動などが関係していると考えられる。加えて、Peak Ground Velocityと地震の誘発のされやすさを表すn値とを比較してnの分布を求めると、本研究の結果がMiyazawa et al.2021の結果と整合的であることが分かった。
今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。
Here is information of the Unagi-seminar(June, 1).
************** Seminar on Seismology IV A, C /地震学ゼミナールIV A, C (Unagi Seminar) **************
科目:地震学ゼミナールIV A, C / Seminar on Seismology IV A, C(修士・博士)
日時:2023年 6月 1日 (木) 13:15~
場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)
Date and Time: 2023-06-01, 13:15~
Place: Uji Campus Main Building E232D or Zoom (Hybrid)
Please join the seminar on-site, especially students who need credit.
Speaker: 松尾 凌(Ryo Matsuo)
Title: 遠地地震によって動的に誘発された日本列島における地震活動に関する定量的評価
Abstract:
大規模な地震による表面波などが応力擾乱をもたらしながら伝播することにより、遠隔地で別の地震を誘発することがあるが、この誘発された地震のことを動的誘発地震(遠地誘発地震)と呼ぶ。また、動的誘発地震(遠地誘発地震)に関する数多くの定性的な研究がなされ、近年では世界規模で地震観測網が密になったことにより動的誘発に関する事例が多く報告されているが、定量的な研究は充分に進んでいない。
しかしながら、Velasco et al.(2008)など、大地震後に地球規模の動的誘発地震が数多く観測されている報告例が存在する。動的に誘発された地震活動を定量化した主な研究例には、van der Elst &Brodsky(2010)とMiyazawa et al.(2021)が存在し、前者は、「誘発のされやすさ」の指標を定義し、南カリフォルニア地域の誘発のされやすさの地域性と、歪み変化との関係を明らかにした一方で、後者は、前者をアップロードする形で、地震の検出数が多い高質な地震カタログで検証しており、前述の地域性・歪み変化の関係に加えて誘発された地震の時間減衰を示した。動的誘発地震の報告例は多数あるものの、「誘発のされやすさ」の指標を定義したメジャーな研究は南カリフォルニアのみとなっている。そこで、日本でも動的誘発地震は多く観測されているが、どのような「誘発のされやすさ」の値を持つのかを本研究で検証する。
また、van der Elst &Brodsky(2010)のTriggering intensity ,n値を、「誘発のされやすさ」を表す指標として使い、2020年の日本列島の地震活動の変化を評価する。さらに地震活動を規格化し、日本全体を区画ごとに分けて誘発のされやすさを調べる。2020年の日本列島のn値の空間分布を見ると、このn値が極めて大きな地域として、北海道胆振地方西部、岩手県沖、宮古島沖が挙げられることが分かる。地熱地帯に位置することや大地震後の地殻変動などが関係していると考えられる。加えて、Peak Ground Velocityと地震の誘発のされやすさを表すn値とを比較してnの分布を求めると、本研究の結果がMiyazawa et al.2021の結果と整合的であることが分かった。
© Research Center for Earthquake Hazards.
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