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うなぎセミナー 6/29

うなぎセミナー 6/29

セミナー等

SEMINARS

更新日:2023.04.12

Updated: 2023.04.12

  • 開催場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)
  • Place: 京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)
  • 開催日時:2023年6月29日(木) 13時15分~
  • Date and Time: 2023年6月29日(木) 13時15分~

今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。

Here is information of the Unagi-seminar(June, 29).

************** Seminar on Seismology IV A, C /地震学ゼミナールIV A, C (Unagi Seminar) **************

科目:地震学ゼミナールIV A, C / Seminar on Seismology IV A, C(修士・博士)
日時:2023年 6月 29日 (木) 13:15~
場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)

Date and Time:2023-06-29, 13:15~
Place:Uji Campus Main Building E232D or Zoom (Hybrid)

   Please join the seminar on-site, especially students who need credit.

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Presenter(発表者)1: 国吉 健太郎

Title(題目): メキシコにおけるテクトニック微動解析のための,テクトニック微動の検出,震源決定方法の比較

Abstract:
 スロー地震は巨大地震を誘発する可能性があると指摘されており(e.g., Obara and Kato, 2016),スロー地震の理解は巨大地震の理解にもつながると考えられる.スロー地震の中でも,特にテクトニック微動(以下,微動)は,他のスロー地震に対して震源を比較的正確に決定しやすく,スロー地震の空間分布を理解するうえで役立つと考えられる.
 しかし,微動の震源決定方法について完全なものはなく,手法の改良や,開発が数多くなされている.Obara(2002)では,複数観測点間のエンベロープ波形の相関が高い場合に走時差から震源決定を行い(この手法をエンベロープ相関法と呼ぶ),微動の検出に成功した.Maeda and Obara(2009)では,Obara(2002)のエンベロープ相関法で求めた走時差に加え,エネルギーも用いることで震源決定を行っている.一方,Wech and Creager(2007,2008)では,震源をあらかじめ仮定し,グリッドサーチ法によって各観測点間のエンベロープ波形の相関が最も高い位置を震源として決定している.また,これを発展させたMizuno and Ide(2019)では,最尤推定法から得たエンベロープと,観測されるエンベロープを用いて震源決定を行っている.
 修士課程では,メキシコにおける微動の解析を行いたいと考えている.メキシコでは,北米プレートの下にココスプレートが沈み込みこんでおり,地震が頻発している.しかし,西経100-102.2°では1911年から巨大地震が発生していない地震空白域が存在する(以下,ゲレロ地震空白域と呼ぶ).Plata-Martinez(2021)では, Mizuno and Ide(2019)の手法を用いて微動の検出を行い,ゲレロ地震空白域西部におけるスロー地震とファスト地震の空間的な分布を示した.一方,私は,ゲレロ地震空白域東部の2021-22年の微動活動の空間的な分布を解析したいと考えており,そのなかで手法の選択,改良も検討しつつ解析を行いたいと考えている.

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Presenter(発表者)2: 野末 陽平

Title(題目): 歪み速度場推定の新手法の開発:スパースモデリングの適用

Abstract(要旨):
 地殻における歪みの蓄積は地震の発生と深く関係する。従って、GNSS観測等で得られた空間的に離散的なデータから連続的な歪み速度場を高精度に推定することは重要である。Okazaki et al. (2021) は変位速度場を基底関数展開した上で、変位速度場の空間平滑性を先験情報として課すこと(L2正則化)で変形場を推定した。しかし、平滑化の先験情報が影響するため、L2正則化による推定では断層帯近傍での歪みの蓄積が過小評価される可能性がある。
 そこで、本研究では、平滑性と局在性が適切にバランスされた歪み速度場を、GNSSデータから推定する新たな手法を開発することを目的とする。目的関数として、歪み速度の空間変化率のL1ノルムとL2ノルムおよび変位速度の残差2乗和の項からなる式(Elastic net)を用いた。ここで、L1ノルムとL2ノルムは、それぞれ歪み速度の局在性および平滑性を先験情報として課すことに対応する。目的関数の各項の比重は2つの超パラメータを用いて規定し、それらの最適値を交差検証法により決定した。
 定式化が比較的容易な1次元空間での推定を行った。まず、横ずれ断層での定常滑りに伴う1次元の仮想的な変位速度データを作成し、提案手法を適用した。提案手法により真の分布がどれほどの精度で推定されるかを基準として、提案手法の妥当性と問題点を確認した。上記の数値実験の結果、提案手法はL2正則化と同等以上の精度で歪み速度場を推定可能であり、誤差が小さいデータに対して適用可能であることが分かった。次に、実データへの適用として、有馬高槻断層帯周辺の歪み速度場を推定したところ、断層帯近傍においてL2正則化よりも大きな歪み速度が見出された。今後の研究では提案手法を2次元に拡張し、面的な歪み速度場の推定を行う。
 一方で、L2正則化における平滑化の超パラメータβの最適化には、ABIC最小の規準を用いている。2次元の場合にはβの値は1つに定まり、推定される歪み速度場もおおよそ妥当なものと思われる(Okazaki et al., 2021 ; 野末・深畑, 2022 など)。しかし、1次元空間でのL2正則化に上記の規順を用いると、βの値に対するABICの値の変化が小さく、入力データによってはABICが最小となる点が定まらない場合さえ存在する。さらに、βが十分小さい場合にABICの値が変化しないなど直感に反する挙動を示すこともある。こうした振る舞いは、インバージョン解析においてABIC最小の規準の適用限界が存在することを示唆するため、その原因を探ることは重要である。そこで、数値的および解析的な計算を通じて、βの値を変更した場合にABICの計算式の各項がどのように振る舞うか等について調べた。本発表の後半では、それらについて述べる予定である。

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今週のうなぎセミナーについてお知らせいたします。

Here is information of the Unagi-seminar(June, 29).

************** Seminar on Seismology IV A, C /地震学ゼミナールIV A, C (Unagi Seminar) **************

科目:地震学ゼミナールIV A, C / Seminar on Seismology IV A, C(修士・博士)
日時:2023年 6月 29日 (木) 13:15~
場所:京都大学 防災研究所 本館E-232D または オンライン(Zoom)

Date and Time:2023-06-29, 13:15~
Place:Uji Campus Main Building E232D or Zoom (Hybrid)

   Please join the seminar on-site, especially students who need credit.

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Presenter(発表者)1: 国吉 健太郎

Title(題目): メキシコにおけるテクトニック微動解析のための,テクトニック微動の検出,震源決定方法の比較

Abstract:
 スロー地震は巨大地震を誘発する可能性があると指摘されており(e.g., Obara and Kato, 2016),スロー地震の理解は巨大地震の理解にもつながると考えられる.スロー地震の中でも,特にテクトニック微動(以下,微動)は,他のスロー地震に対して震源を比較的正確に決定しやすく,スロー地震の空間分布を理解するうえで役立つと考えられる.
 しかし,微動の震源決定方法について完全なものはなく,手法の改良や,開発が数多くなされている.Obara(2002)では,複数観測点間のエンベロープ波形の相関が高い場合に走時差から震源決定を行い(この手法をエンベロープ相関法と呼ぶ),微動の検出に成功した.Maeda and Obara(2009)では,Obara(2002)のエンベロープ相関法で求めた走時差に加え,エネルギーも用いることで震源決定を行っている.一方,Wech and Creager(2007,2008)では,震源をあらかじめ仮定し,グリッドサーチ法によって各観測点間のエンベロープ波形の相関が最も高い位置を震源として決定している.また,これを発展させたMizuno and Ide(2019)では,最尤推定法から得たエンベロープと,観測されるエンベロープを用いて震源決定を行っている.
 修士課程では,メキシコにおける微動の解析を行いたいと考えている.メキシコでは,北米プレートの下にココスプレートが沈み込みこんでおり,地震が頻発している.しかし,西経100-102.2°では1911年から巨大地震が発生していない地震空白域が存在する(以下,ゲレロ地震空白域と呼ぶ).Plata-Martinez(2021)では, Mizuno and Ide(2019)の手法を用いて微動の検出を行い,ゲレロ地震空白域西部におけるスロー地震とファスト地震の空間的な分布を示した.一方,私は,ゲレロ地震空白域東部の2021-22年の微動活動の空間的な分布を解析したいと考えており,そのなかで手法の選択,改良も検討しつつ解析を行いたいと考えている.

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Presenter(発表者)2: 野末 陽平

Title(題目): 歪み速度場推定の新手法の開発:スパースモデリングの適用

Abstract(要旨):
 地殻における歪みの蓄積は地震の発生と深く関係する。従って、GNSS観測等で得られた空間的に離散的なデータから連続的な歪み速度場を高精度に推定することは重要である。Okazaki et al. (2021) は変位速度場を基底関数展開した上で、変位速度場の空間平滑性を先験情報として課すこと(L2正則化)で変形場を推定した。しかし、平滑化の先験情報が影響するため、L2正則化による推定では断層帯近傍での歪みの蓄積が過小評価される可能性がある。
 そこで、本研究では、平滑性と局在性が適切にバランスされた歪み速度場を、GNSSデータから推定する新たな手法を開発することを目的とする。目的関数として、歪み速度の空間変化率のL1ノルムとL2ノルムおよび変位速度の残差2乗和の項からなる式(Elastic net)を用いた。ここで、L1ノルムとL2ノルムは、それぞれ歪み速度の局在性および平滑性を先験情報として課すことに対応する。目的関数の各項の比重は2つの超パラメータを用いて規定し、それらの最適値を交差検証法により決定した。
 定式化が比較的容易な1次元空間での推定を行った。まず、横ずれ断層での定常滑りに伴う1次元の仮想的な変位速度データを作成し、提案手法を適用した。提案手法により真の分布がどれほどの精度で推定されるかを基準として、提案手法の妥当性と問題点を確認した。上記の数値実験の結果、提案手法はL2正則化と同等以上の精度で歪み速度場を推定可能であり、誤差が小さいデータに対して適用可能であることが分かった。次に、実データへの適用として、有馬高槻断層帯周辺の歪み速度場を推定したところ、断層帯近傍においてL2正則化よりも大きな歪み速度が見出された。今後の研究では提案手法を2次元に拡張し、面的な歪み速度場の推定を行う。
 一方で、L2正則化における平滑化の超パラメータβの最適化には、ABIC最小の規準を用いている。2次元の場合にはβの値は1つに定まり、推定される歪み速度場もおおよそ妥当なものと思われる(Okazaki et al., 2021 ; 野末・深畑, 2022 など)。しかし、1次元空間でのL2正則化に上記の規順を用いると、βの値に対するABICの値の変化が小さく、入力データによってはABICが最小となる点が定まらない場合さえ存在する。さらに、βが十分小さい場合にABICの値が変化しないなど直感に反する挙動を示すこともある。こうした振る舞いは、インバージョン解析においてABIC最小の規準の適用限界が存在することを示唆するため、その原因を探ることは重要である。そこで、数値的および解析的な計算を通じて、βの値を変更した場合にABICの計算式の各項がどのように振る舞うか等について調べた。本発表の後半では、それらについて述べる予定である。

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© Research Center for Earthquake Hazards.

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