更新日:2015.04.16
Updated: 2015.04.16
**************♦ うなぎセミナーのご案内 ♦**************
日時:7月16日(木)14:00~
場所:本館E-232D室
[担当]:長谷川崇
[題目]:巨大地震後のGRACE衛星重力データを用いた粘弾性構造の推定
Viscoelastic strutures estimated from postseismic gravity changes recovered from GRACE satellite gravity data
[要旨]:
2002年以降全球の重力観測を続けているGRACE衛星ミッションは、ミッションの主目的である陸水と氷床の質量変動モニタリングに加え、M9クラスの地震のコサイスミック及びポストサイスミックな重力シグナルの観測に成功した。
GRACE重力データは、その空間分解能が約400km以上、時間分解能が1カ月に限られるものの、他の手法では観測が困難な海域の地殻変動を含めた地球質量の再配分を反映する。そのため、GRACEデータから得られたコサイスミックな重力変化と、従来の断層変位モデルから予想される重力変化を比較することで、従来の観測手法では感度が低い沖合下の断層浅部でのaseismic slipが2004年スマトラ・アンダマン地震直後に生じた可能性を指摘する先行研究を、本年5/7の発表では報告した。
本発表は5/7の発表の続報として、afterslipと粘弾性緩和の両方を考慮して、GRACE重力データから得られた2004年スマトラ地震、2010年チリ地震、2011年東北沖地震後の重力変化をモデリングした結果を示す。粘弾性緩和のモデリングではTanaka et al., Geophys J Int, 2007でまとめられたdislocation計算法を用い、リソスフェア、アセノスフェア、マントル、流体核、固体核からなMaxwell粘弾性地球を想定した。
粘弾性緩和により生じる重力シグナルの空間パターンは、生じうる様々な震源深さでのafterslipにより生じるシグナルの空間パターンともとも異なる。そのため、GRACEデータを用いることで、粘弾性緩和とafterslipの寄与を分離して決定できる。
また、粘弾性緩和により生じる重力シグナルは、リソスフェア(粘性率∞)の厚さ、アセノスフェアの厚さと粘性率にsensitiveで、アセノスフェアより深い部分の粘性構造への感度は低かった。そのため、粘弾性緩和のモデリングでは、リソスフェアの厚さ、アセノスフェアの厚さと粘性率以外のパラメータを固定し、GRACEデータを最もよく再現するこれら3パラメータを推定した。
モデリングの結果、2004年スマトラ地震後では、最初の約1カ月の重力変化はM9クラスのafterslipにより生じたものの、その後10年以上続く重力変化は粘弾性緩和のみにより生じたことが示された。推定されたリソスフェアの厚さ90km、アセノスフェアの厚さと粘性率はそれぞれ60kmと1018[Pas]であった。本研究ではafterslipにより生じた粘弾性緩和の効果も考慮したが、推定されたafterslipのほとんどが深さ20kmより浅い領域に集中したため、粘弾性シグナルのほとんどが本震により生じたと考えられる。
さらに、今回得られたafterslip及び粘弾性緩和から予想される地表変位は、Hashimoto et al., 2006他で示された連続及びキャンペーンGPS観測から得られた変位量とも概ね一致した。
一方、2010年チリ地震後は顕著な重力変化見られないため、アセノスフェアの粘性率は1019[Pas]より大きいと考えられる。
**************♦ 皆 さまのご来聴をお待ちしています ♦**************
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[題目]:巨大地震後のGRACE衛星重力データを用いた粘弾性構造の推定
Viscoelastic strutures estimated from postseismic gravity changes recovered from GRACE satellite gravity data
[要旨]:
2002年以降全球の重力観測を続けているGRACE衛星ミッションは、ミッションの主目的である陸水と氷床の質量変動モニタリングに加え、M9クラスの地震のコサイスミック及びポストサイスミックな重力シグナルの観測に成功した。
GRACE重力データは、その空間分解能が約400km以上、時間分解能が1カ月に限られるものの、他の手法では観測が困難な海域の地殻変動を含めた地球質量の再配分を反映する。そのため、GRACEデータから得られたコサイスミックな重力変化と、従来の断層変位モデルから予想される重力変化を比較することで、従来の観測手法では感度が低い沖合下の断層浅部でのaseismic slipが2004年スマトラ・アンダマン地震直後に生じた可能性を指摘する先行研究を、本年5/7の発表では報告した。
本発表は5/7の発表の続報として、afterslipと粘弾性緩和の両方を考慮して、GRACE重力データから得られた2004年スマトラ地震、2010年チリ地震、2011年東北沖地震後の重力変化をモデリングした結果を示す。粘弾性緩和のモデリングではTanaka et al., Geophys J Int, 2007でまとめられたdislocation計算法を用い、リソスフェア、アセノスフェア、マントル、流体核、固体核からなMaxwell粘弾性地球を想定した。
粘弾性緩和により生じる重力シグナルの空間パターンは、生じうる様々な震源深さでのafterslipにより生じるシグナルの空間パターンともとも異なる。そのため、GRACEデータを用いることで、粘弾性緩和とafterslipの寄与を分離して決定できる。
また、粘弾性緩和により生じる重力シグナルは、リソスフェア(粘性率∞)の厚さ、アセノスフェアの厚さと粘性率にsensitiveで、アセノスフェアより深い部分の粘性構造への感度は低かった。そのため、粘弾性緩和のモデリングでは、リソスフェアの厚さ、アセノスフェアの厚さと粘性率以外のパラメータを固定し、GRACEデータを最もよく再現するこれら3パラメータを推定した。
モデリングの結果、2004年スマトラ地震後では、最初の約1カ月の重力変化はM9クラスのafterslipにより生じたものの、その後10年以上続く重力変化は粘弾性緩和のみにより生じたことが示された。推定されたリソスフェアの厚さ90km、アセノスフェアの厚さと粘性率はそれぞれ60kmと1018[Pas]であった。本研究ではafterslipにより生じた粘弾性緩和の効果も考慮したが、推定されたafterslipのほとんどが深さ20kmより浅い領域に集中したため、粘弾性シグナルのほとんどが本震により生じたと考えられる。
さらに、今回得られたafterslip及び粘弾性緩和から予想される地表変位は、Hashimoto et al., 2006他で示された連続及びキャンペーンGPS観測から得られた変位量とも概ね一致した。
一方、2010年チリ地震後は顕著な重力変化見られないため、アセノスフェアの粘性率は1019[Pas]より大きいと考えられる。
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© Research Center for Earthquake Hazards.
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