2018年度地震・火山グループ研究会を、下記の通り11月30日に開催します。
皆様お誘い合わせの上、ご参加いただきますようお願い申し上げます。
--------------2018年11月 地震・火山グループ研究会-------------
【開催日時】2018年11月30日(金)15:00-17:00
【開催場所】京都大学防災研究所 連携研究棟301号室 3F大会議室
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_uji.htm
(構内マップ中の77番の建物です)
時間:15:00-16:00
講演者:山口哲生 先生 (九州大学 准教授)
タイトル:ゲルを用いたゆっくりすべりと巨大地震の室内実験
要旨:
地震発生過程を理解するためには,観測によって現象を掴み,摩擦実験と数値計算を用いて現象を再現するアプローチが一般的である.一方,摩擦実験と断層スケールのすべり実験を組み合わせて摩擦構成則と地震発生素過程との関係を調べる実験的研究は,これまでほとんど行われていない.
本講演では,我々が取り組んでいる断層スケールの室内実験の現状と今後の課題を紹介したい.まず,(地震現象の再現を意図せずに始めた)高分子ゲルのスティックスリップ摩擦実験[1]について話した後,いくつかの関連研究を概観しつつ,少しずつ地震との関連が見えてきた経緯を説明する[2,3].たとえば,アスペリティ(表面突起)の形状制御によって,摩擦構成則を系統的に制御できること[4,5],ゆっくりすべりから高速すべりへの遷移が起こること[4],巨大イベント直前の準備過程において,核生成成長型のすべりから大規模なゆっくりすべり発生するタイプに移行することなど,地震と関連している”かもしれない”現象がいくつか観測されている.また,透明材料の強みを生かして,変形場や応力場の可視化による内部状態のモニタリングも可能になってきている.これらの実験結果を通して,我々の“古くて新しい”アプローチの意義をお伝えしたい.
References
[1] T. Yamaguchi, S. Ohmata, M. Doi, Regular to chaotic transition of stick–slip motion in sliding friction of an adhesive gel-sheet, J. Phys: Condensed Matter 21, 205105.
[2] T. Yamaguchi, M. Morishita, T. Hori, H. Sakaguchi, J.- P. Ampuero, Gutenberg‐Richter's law in sliding friction of gels, J. Geophys. Res.: Solid Earth 116, B12306 (2011).
[3] T. Yamaguchi, Y. Sawae, S. M. Rubinstein, Effects of loading angles on stick–slip dynamics of soft sliders, Extreme Mechanics Letters 9, 331-335(2016).
[4] T. Yamaguchi, Y. Himeno, Y. Sawae, in preparation.
[5] T. Yamaguchi, S. Takeuchi, Y. Sawae, in preparation.
時間:16:00-17:00
講演者:中元真美 博士 (地震予知総合研究振興会 副主任研究員)
タイトル:南極観測最前線-東オングル島周辺における地震観測-
要旨:
日本の南極観測は1957年1月に第1次日本南極地域観測隊が東オングル島に昭和基地を建設したことから始まり,2018年11月25日には第60次隊が日本を出発し南極へ向かう.これまで気象,生物,地質,宇宙,海洋等の様々な分野の研究者が現地で調査研究を行い,例えばオゾンホールの発見といった世界的に重要な観測成果も報告されている.また「南極は地球・宇宙の覗き窓」と呼ばれ,地球やその周辺の宇宙空間の変動を捉えその原因を解明するのに重要なフィールドとみなされている.地震観測においては1959年に最初の地震計が設置されて以来現在まで観測が継続されてきた.始めは昭和基地のみだった地震観測点も次第に増え,遠地地震のみでなくlocalな地震や雪氷圏特有の震動といった現象もとらえられている.特に氷震や氷震微動と呼ばれる震動は周辺の環境の時空間変化の影響を強く受ける為,地球環境の変化をモニタリングする指標としても注目されている.南極は日本と比べると人工ノイズも少なく非常に良好なデータが得られる一方で極寒の環境下での観測は容易ではない.最初の観測隊派遣から60年が経過した現在どのような観測が行われているのか,地震観測を中心に実際に現地で1年間過ごした体験を交えて報告する.
2018年度地震・火山グループ研究会を、下記の通り11月30日に開催します。
皆様お誘い合わせの上、ご参加いただきますようお願い申し上げます。
--------------2018年11月 地震・火山グループ研究会-------------
【開催日時】2018年11月30日(金)15:00-17:00
【開催場所】京都大学防災研究所 連携研究棟301号室 3F大会議室
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_uji.htm
(構内マップ中の77番の建物です)
時間:15:00-16:00
講演者:山口哲生 先生 (九州大学 准教授)
タイトル:ゲルを用いたゆっくりすべりと巨大地震の室内実験
要旨:
地震発生過程を理解するためには,観測によって現象を掴み,摩擦実験と数値計算を用いて現象を再現するアプローチが一般的である.一方,摩擦実験と断層スケールのすべり実験を組み合わせて摩擦構成則と地震発生素過程との関係を調べる実験的研究は,これまでほとんど行われていない.
本講演では,我々が取り組んでいる断層スケールの室内実験の現状と今後の課題を紹介したい.まず,(地震現象の再現を意図せずに始めた)高分子ゲルのスティックスリップ摩擦実験[1]について話した後,いくつかの関連研究を概観しつつ,少しずつ地震との関連が見えてきた経緯を説明する[2,3].たとえば,アスペリティ(表面突起)の形状制御によって,摩擦構成則を系統的に制御できること[4,5],ゆっくりすべりから高速すべりへの遷移が起こること[4],巨大イベント直前の準備過程において,核生成成長型のすべりから大規模なゆっくりすべり発生するタイプに移行することなど,地震と関連している”かもしれない”現象がいくつか観測されている.また,透明材料の強みを生かして,変形場や応力場の可視化による内部状態のモニタリングも可能になってきている.これらの実験結果を通して,我々の“古くて新しい”アプローチの意義をお伝えしたい.
References
[1] T. Yamaguchi, S. Ohmata, M. Doi, Regular to chaotic transition of stick–slip motion in sliding friction of an adhesive gel-sheet, J. Phys: Condensed Matter 21, 205105.
[2] T. Yamaguchi, M. Morishita, T. Hori, H. Sakaguchi, J.- P. Ampuero, Gutenberg‐Richter's law in sliding friction of gels, J. Geophys. Res.: Solid Earth 116, B12306 (2011).
[3] T. Yamaguchi, Y. Sawae, S. M. Rubinstein, Effects of loading angles on stick–slip dynamics of soft sliders, Extreme Mechanics Letters 9, 331-335(2016).
[4] T. Yamaguchi, Y. Himeno, Y. Sawae, in preparation.
[5] T. Yamaguchi, S. Takeuchi, Y. Sawae, in preparation.
時間:16:00-17:00
講演者:中元真美 博士 (地震予知総合研究振興会 副主任研究員)
タイトル:南極観測最前線-東オングル島周辺における地震観測-
要旨:
日本の南極観測は1957年1月に第1次日本南極地域観測隊が東オングル島に昭和基地を建設したことから始まり,2018年11月25日には第60次隊が日本を出発し南極へ向かう.これまで気象,生物,地質,宇宙,海洋等の様々な分野の研究者が現地で調査研究を行い,例えばオゾンホールの発見といった世界的に重要な観測成果も報告されている.また「南極は地球・宇宙の覗き窓」と呼ばれ,地球やその周辺の宇宙空間の変動を捉えその原因を解明するのに重要なフィールドとみなされている.地震観測においては1959年に最初の地震計が設置されて以来現在まで観測が継続されてきた.始めは昭和基地のみだった地震観測点も次第に増え,遠地地震のみでなくlocalな地震や雪氷圏特有の震動といった現象もとらえられている.特に氷震や氷震微動と呼ばれる震動は周辺の環境の時空間変化の影響を強く受ける為,地球環境の変化をモニタリングする指標としても注目されている.南極は日本と比べると人工ノイズも少なく非常に良好なデータが得られる一方で極寒の環境下での観測は容易ではない.最初の観測隊派遣から60年が経過した現在どのような観測が行われているのか,地震観測を中心に実際に現地で1年間過ごした体験を交えて報告する.
© Research Center for Earthquake Hazards.
© Research Center for Earthquake Hazards.