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地震・火山研究グループ研究会(5月25日)

Seismic and Volcanic Hazards Mitigation Research Group Workshop (May 25, 2018)

セミナー等

SEMINARS

更新日:2018.04.27

Updated: 2018.04.27

2018年度地震・火山グループ研究会第1回を、下記の通り5月25日に開催します。
お誘いあわせの上ご参加くださいます様、お願い申し上げます。

--------------2018年5月 地震・火山グループ研究会-------------
日時:2018年5月25日(金)13:00-15:00
場所:京都大学防災研究所 大会議室 (本館S棟5階S-519D室)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_uji.htm
(構内マップ中の27番の建物です)

時間:13:00-14:00
講演者:大邑潤三 博士 (地震予知研究センター)
タイトル:1830年文政京都地震の被害と震央の推定
要旨:
報告者は近世・近代期の地震災害について研究を進めている.今回は近世の地震事例として1830年に発生した文政京都地震について取り上げ,史料吟味や被害と地形の関係といった観点から報告する.
文政京都地震の震央は現・亀岡市の亀山城下町で20%近い倒壊率を示す地域が存在することから,亀岡盆地の北東部に想定され,神吉-越畑断層および亀岡断層が地震断層と考えられてきた.しかし同地域における被害を復原したところ,亀山城が立地する段丘面ではほぼ被害が発生しておらず,段丘下の沖積平野などで建物倒壊被害が大きいことが明らかになった.城下の被害は震央近傍の直接的強震動ではなく,地盤条件の違いが要因として支配的であると考えられる. さらに京都盆地を含む広域の被害を巨視的に分析したところ,甚大な被害は愛宕山の山麓付近で発生していることが明らかになった.一方,本地震の震央として想定されていた亀岡盆地北東部では大きな被害を示す記録は見つかっておらず,本地震の地震断層の候補とされる亀岡断層上では,無被害を示す記録が新たに発見された.これらのことから亀岡断層が本地震の地震断層である可能性は低くなったと考えられる.
また京都盆地内の被害記録をGIS化し,記録の偏りを考慮した上で建物倒壊被害の分布を分析した.京都市街地における建物倒壊被害は地形的な要因だけでなく,住宅密集地域という条件が被害発生の誘因となったと考えられる.さらに被害分布は東山地域に集中しており,部分的には桃山断層に沿って被害が集中する傾向がみられた.同断層は本地震の発生とは無関係と考えられるが,地下構造に起因する地震動の増幅などの可能性が疑われる.


時間:14:00-15:00
講演者:西川友章 博士 (地震予知研究センター)
タイトル:地震活動から明らかにする大地震発生メカニズム
要旨:
発表者はこれまで地震活動の解析を通して大地震発生メカニズムの解明に取り組んできた。本発表では以下の2テーマについて発表する。
1. 沈み込み帯のGutenberg-Richter則のb値の地域差を決めるものは何か?(Nishikawa and Ide, 2014)
地震活動の主要な指標にGutenberg-Richter則のb値がある。b値は大きな地震と小さな地震の発生数の比を表し、b値が小さな地域では大きな地震が相対的に多く発生する。世界の沈み込み帯にはb値の地域差があることは知られていたが、原因は明らかではなかった。本研究はb値が岩石中の差応力に負の相関を示すことに着目し(Scholz,1968など)、沈み込み帯の応力状態を決める沈み込み帯の物理量とb値を比較した。その結果、b値は沈み込むプレートの年代と海溝の深さに正の相関を示すことがわかった。この結果は、沈み込むプレートの浮力が沈み込み帯の応力状態とb値を決めることを示唆する。
2. 茨城県沖地震震源域内のスロースリップイベント
近年の研究で、沈み込み帯で発生する前震活動、群発地震活動はスロースリップイベント(SSE)によってトリガされることがあることが明らかになった(Ruizet al.,2014など)。逆に、前震・群発地震活動を精査することで、未知のSSEを見つけることができる可能性がある。本研究は1982年から2008年までの日本海溝の地震活動にEpidemic-type aftershock-sequenceモデル(Ogata,1988)を適用し、群発地震活動を検出した。その結果、1982年、2008年M7茨城県沖地の震源域内の同一領域で、前震・群発地震活動が繰り返し発生していることがわかった。前震・群発地震系列は小繰り返し地震(Ellsworth,1995)を含み、本震-余震トリガでは説明できない異常な地震発生レートを示した。この結果は、前震・群発地震期間中にプレート境界で非地震性滑りが発生したこと、つまりSSEが発生していたことを示唆する。

 

 

2018年度地震・火山グループ研究会第1回を、下記の通り5月25日に開催します。
お誘いあわせの上ご参加くださいます様、お願い申し上げます。

--------------2018年5月 地震・火山グループ研究会-------------
日時:2018年5月25日(金)13:00-15:00
場所:京都大学防災研究所 大会議室 (本館S棟5階S-519D室)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_uji.htm
(構内マップ中の27番の建物です)

時間:13:00-14:00
講演者:大邑潤三 博士 (地震予知研究センター)
タイトル:1830年文政京都地震の被害と震央の推定
要旨:
報告者は近世・近代期の地震災害について研究を進めている.今回は近世の地震事例として1830年に発生した文政京都地震について取り上げ,史料吟味や被害と地形の関係といった観点から報告する.
文政京都地震の震央は現・亀岡市の亀山城下町で20%近い倒壊率を示す地域が存在することから,亀岡盆地の北東部に想定され,神吉-越畑断層および亀岡断層が地震断層と考えられてきた.しかし同地域における被害を復原したところ,亀山城が立地する段丘面ではほぼ被害が発生しておらず,段丘下の沖積平野などで建物倒壊被害が大きいことが明らかになった.城下の被害は震央近傍の直接的強震動ではなく,地盤条件の違いが要因として支配的であると考えられる. さらに京都盆地を含む広域の被害を巨視的に分析したところ,甚大な被害は愛宕山の山麓付近で発生していることが明らかになった.一方,本地震の震央として想定されていた亀岡盆地北東部では大きな被害を示す記録は見つかっておらず,本地震の地震断層の候補とされる亀岡断層上では,無被害を示す記録が新たに発見された.これらのことから亀岡断層が本地震の地震断層である可能性は低くなったと考えられる.
また京都盆地内の被害記録をGIS化し,記録の偏りを考慮した上で建物倒壊被害の分布を分析した.京都市街地における建物倒壊被害は地形的な要因だけでなく,住宅密集地域という条件が被害発生の誘因となったと考えられる.さらに被害分布は東山地域に集中しており,部分的には桃山断層に沿って被害が集中する傾向がみられた.同断層は本地震の発生とは無関係と考えられるが,地下構造に起因する地震動の増幅などの可能性が疑われる.


時間:14:00-15:00
講演者:西川友章 博士 (地震予知研究センター)
タイトル:地震活動から明らかにする大地震発生メカニズム
要旨:
発表者はこれまで地震活動の解析を通して大地震発生メカニズムの解明に取り組んできた。本発表では以下の2テーマについて発表する。
1. 沈み込み帯のGutenberg-Richter則のb値の地域差を決めるものは何か?(Nishikawa and Ide, 2014)
地震活動の主要な指標にGutenberg-Richter則のb値がある。b値は大きな地震と小さな地震の発生数の比を表し、b値が小さな地域では大きな地震が相対的に多く発生する。世界の沈み込み帯にはb値の地域差があることは知られていたが、原因は明らかではなかった。本研究はb値が岩石中の差応力に負の相関を示すことに着目し(Scholz,1968など)、沈み込み帯の応力状態を決める沈み込み帯の物理量とb値を比較した。その結果、b値は沈み込むプレートの年代と海溝の深さに正の相関を示すことがわかった。この結果は、沈み込むプレートの浮力が沈み込み帯の応力状態とb値を決めることを示唆する。
2. 茨城県沖地震震源域内のスロースリップイベント
近年の研究で、沈み込み帯で発生する前震活動、群発地震活動はスロースリップイベント(SSE)によってトリガされることがあることが明らかになった(Ruizet al.,2014など)。逆に、前震・群発地震活動を精査することで、未知のSSEを見つけることができる可能性がある。本研究は1982年から2008年までの日本海溝の地震活動にEpidemic-type aftershock-sequenceモデル(Ogata,1988)を適用し、群発地震活動を検出した。その結果、1982年、2008年M7茨城県沖地の震源域内の同一領域で、前震・群発地震活動が繰り返し発生していることがわかった。前震・群発地震系列は小繰り返し地震(Ellsworth,1995)を含み、本震-余震トリガでは説明できない異常な地震発生レートを示した。この結果は、前震・群発地震期間中にプレート境界で非地震性滑りが発生したこと、つまりSSEが発生していたことを示唆する。

 

 

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© Research Center for Earthquake Hazards.

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