下記の通り、9月の防災研地震火山グループ研究会を開催いたします.
今月は,火山観測研究について,九州大学の相澤先生と,防災研火山活動研究センターの新任教員である中道が話しをします.
皆様お誘い合わせの上,是非ご参加いただきますようお願い申し上げます.
なお,開始時間がいつもより1時間遅れとなっておりますのでご注意ください.
また,防災研所内行事と重なったことをお詫びします.
9月地震・火山グループ研究会
日時:2013年9月27日(金)15:00 - 17:00
会場:京都大学宇治キャンパスおおばくプラザセミナー室4・5
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_uji.htm
(構内マップ中の3番の建物です)
スピーカー(前半15:00 - 16:00): 相澤広記 助教(九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター)
タイトル: 電気比抵抗構造から推定する流体上昇経路と火山活動の関係
要旨: 電気比抵抗 (単位Ω・m) は流体の存在に敏感な物理量であり,地下の比抵抗構造を推定すれば熱水やマグマなどの火山性流体の空間的広がりを推測することができる.特に,自然の電磁場変動を利用するMT法は,大掛かりな装置を必要とせず地表から深さ100km程度までを広範にカバーできるため,地形が急峻な火山地域でも多く利用されてきた.本発表では富士山と霧島火山で行ったMT探査の例を紹介したい.富士山直下では2011年3月15日にJMAマグニチュード6.4の地震が発生した.発生時期から東北太平洋沖地震に誘発された地震と考えられる.MT法の比抵抗構造によれば,この震源-余震域は周辺に比べて低比抵抗となっており,あらかじめ破砕が発達した弱面であった可能性がある.さらに富士山周辺でサンプリングしたHe同位体比との対応は,この弱面をマグマ揮発性成分が選択的0.03km3のマグマを放出した.この噴火と同時に離れた場所で沈降が観測され,その中心は新燃岳から北北西に6km離れた深さ10kmに推定されている.MT法の比抵抗構造からは,この沈降源の直下にマグマ溜まりと思われる低比抵抗領域が推定された.低比抵抗領域や沈降源直上は顕著な高比抵抗領域となっておりマグマの上昇が高比抵抗領域にブロックされている可能性がある.
スピーカー(後半16:00 - 17:00): 中道治久 准教授(京都大学防災研究所附属火山活動研究センター)
タイトル: 地震アレイ観測から推定した爆発的噴火と火山性微動の発生過程
要旨: 火山にて発生する地震や微動は初動の立ち上がりが不明瞭なことが多いため,震源位置を推定するのは容易ではない.ここでは地震アレイ観測を用いた火山性地震と微動の震源推定事例を紹介する.2010年秋に諏訪之瀬島火山の噴火火口近傍にて地震アレイ観測を実施し,爆発地震の解析から噴火過程を明らかにした.爆発地震の震源(1次震源)は火口底直下80-550 mの深さにあり,火口底の破壊(2次震源)に伴って地震動が励起されたことが明らかになった.火山地形と3次元地震波速度構造を考慮して3次元差分法にて波形を計算してアレイ解析を行ったところ,アレイ解析における到来方向とスローネスの時間変化を再現出来 た.1次震源と2次震源の発生時刻差を見積り震源間距離から速さを60-400 m/sと推定した.この速さは,破砕物やガスの移動速度もしくは圧力波の伝播速度に対応する.2011年霧島新燃岳噴火が始まった後に地震アレイ観測を約2年間実施した.そして,連続的アレイ解析によって,噴火の前後に微弱な火山性微動が発生していることが分かった.微動は長い場合数日間振動が継続していた.火山性微動の震源を推定したところ,新燃岳の北1 kmの海抜上-1~1 kmに推定された.震源位置と発生パターンから,火山性微動はマグマ溜まりから新燃岳にマグマが移動する際に放出される熱が熱水系に供給されることで発生したと解釈した.
下記の通り、9月の防災研地震火山グループ研究会を開催いたします.
今月は,火山観測研究について,九州大学の相澤先生と,防災研火山活動研究センターの新任教員である中道が話しをします.
皆様お誘い合わせの上,是非ご参加いただきますようお願い申し上げます.
なお,開始時間がいつもより1時間遅れとなっておりますのでご注意ください.
また,防災研所内行事と重なったことをお詫びします.
9月地震・火山グループ研究会
日時:2013年9月27日(金)15:00 - 17:00
会場:京都大学宇治キャンパスおおばくプラザセミナー室4・5
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_uji.htm
(構内マップ中の3番の建物です)
スピーカー(前半15:00 - 16:00): 相澤広記 助教(九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター)
タイトル: 電気比抵抗構造から推定する流体上昇経路と火山活動の関係
要旨: 電気比抵抗 (単位Ω・m) は流体の存在に敏感な物理量であり,地下の比抵抗構造を推定すれば熱水やマグマなどの火山性流体の空間的広がりを推測することができる.特に,自然の電磁場変動を利用するMT法は,大掛かりな装置を必要とせず地表から深さ100km程度までを広範にカバーできるため,地形が急峻な火山地域でも多く利用されてきた.本発表では富士山と霧島火山で行ったMT探査の例を紹介したい.富士山直下では2011年3月15日にJMAマグニチュード6.4の地震が発生した.発生時期から東北太平洋沖地震に誘発された地震と考えられる.MT法の比抵抗構造によれば,この震源-余震域は周辺に比べて低比抵抗となっており,あらかじめ破砕が発達した弱面であった可能性がある.さらに富士山周辺でサンプリングしたHe同位体比との対応は,この弱面をマグマ揮発性成分が選択的0.03km3のマグマを放出した.この噴火と同時に離れた場所で沈降が観測され,その中心は新燃岳から北北西に6km離れた深さ10kmに推定されている.MT法の比抵抗構造からは,この沈降源の直下にマグマ溜まりと思われる低比抵抗領域が推定された.低比抵抗領域や沈降源直上は顕著な高比抵抗領域となっておりマグマの上昇が高比抵抗領域にブロックされている可能性がある.
スピーカー(後半16:00 - 17:00): 中道治久 准教授(京都大学防災研究所附属火山活動研究センター)
タイトル: 地震アレイ観測から推定した爆発的噴火と火山性微動の発生過程
要旨: 火山にて発生する地震や微動は初動の立ち上がりが不明瞭なことが多いため,震源位置を推定するのは容易ではない.ここでは地震アレイ観測を用いた火山性地震と微動の震源推定事例を紹介する.2010年秋に諏訪之瀬島火山の噴火火口近傍にて地震アレイ観測を実施し,爆発地震の解析から噴火過程を明らかにした.爆発地震の震源(1次震源)は火口底直下80-550 mの深さにあり,火口底の破壊(2次震源)に伴って地震動が励起されたことが明らかになった.火山地形と3次元地震波速度構造を考慮して3次元差分法にて波形を計算してアレイ解析を行ったところ,アレイ解析における到来方向とスローネスの時間変化を再現出来 た.1次震源と2次震源の発生時刻差を見積り震源間距離から速さを60-400 m/sと推定した.この速さは,破砕物やガスの移動速度もしくは圧力波の伝播速度に対応する.2011年霧島新燃岳噴火が始まった後に地震アレイ観測を約2年間実施した.そして,連続的アレイ解析によって,噴火の前後に微弱な火山性微動が発生していることが分かった.微動は長い場合数日間振動が継続していた.火山性微動の震源を推定したところ,新燃岳の北1 kmの海抜上-1~1 kmに推定された.震源位置と発生パターンから,火山性微動はマグマ溜まりから新燃岳にマグマが移動する際に放出される熱が熱水系に供給されることで発生したと解釈した.
© Research Center for Earthquake Hazards.
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