第2回宇治固体地球コロキウムを以下のとおり開催します。
-------------- 第2回 宇治固体地球コロキウム -------------
日 時:2021年7月16日(金) 8月6日(金) 16:00 – 17:30 に延期
場 所:Zoom
講演者: 直井 誠 助教
Title:AEセンサ記録による微小破壊のモーメントテンソル・地震モーメント・コーナー周波数推定
要旨:
圧電素子を用いたAEセンサは,数100 kHz以上の高周波の振動を高感度で測定可能で,数cm規模の室内実験から数十m規模の現場観測において微小破壊の検出に用いられる.
これらに対して震源メカニズムや応力降下量などの推定ができれば現象の理解に有用だが,AEセンサの周波数特性は複雑で,かつ固定方法の影響を大きく受けるため,そのような解析を行うことは簡単ではない.例えば,個々のセンサの微妙な接着状態の違いによりセンサ感度は倍半分程度変化するので,振幅を用いた解析にはその評価と補正が必要であるし,絶対感度が不明であるため振幅値から破壊の(相対規模ではなく)絶対的
な規模を求めることも困難である.本研究では,上記の困難を,レーザードップラー速度計や各実験直前に実施した音波透過試験データを利用するなどして解決し,室内水圧破砕実験で得られたAEの,モーメントテンソル・地震モーメント・コーナー周波数の推定を実施した.測定帯域が狭いことや,AEの震源メカニズム・規模の時間変化に起因するバイアスが複数かかるために,結果の解釈に注意が必要であることも判明したが,得
られた-9.2 ≤ Mw ≤ -6.8のAEに対して,
1)せん断型破壊に対して繰り返し報告されている応力降下量一定則と調和的なMo-fc関係を持つイベントが震源メカニズムによらず多発した,
2)特に開口成分が卓越するものに対して,上記スケーリング則から予想されるよりも低周波成分が卓越するイベントが多発した,という結論が得られた.
2)からは,高い間隙流体圧の存在が,開口変位の発生と低周波成分の卓越に寄与することが示唆される.
[参考文献]
M. Naoi, et al. (2020) Tensile dominant fractures observed in hydraulic fracturing laboratory experiment using eagle ford shale, Geophys. J. Int., 222, 769–780, doi: 10.1093/gji/ggaa183
R. Tanaka, et al. (2021) Preparatory AE activity of hydraulic fracture in granite with various viscous fluids revealed by deep learning technique, Geophys. J. Int., 226, 493–510, doi: 10.1093/gji/ggab096
M. Naoi, et al. Source parameter estimation of acoustic emissions induced by hydraulic fracturing in the laboratory, submitted to Geophys. J. Int.
--------------
<今後の予定>
9月17日 日程未定 橋本学
第2回宇治固体地球コロキウムを以下のとおり開催します。
-------------- 第2回 宇治固体地球コロキウム -------------
日 時:2021年7月16日(金) 8月6日(金) 16:00 – 17:30 に延期
場 所:Zoom
講演者: 直井 誠 助教
Title:AEセンサ記録による微小破壊のモーメントテンソル・地震モーメント・コーナー周波数推定
要旨:
圧電素子を用いたAEセンサは,数100 kHz以上の高周波の振動を高感度で測定可能で,数cm規模の室内実験から数十m規模の現場観測において微小破壊の検出に用いられる.
これらに対して震源メカニズムや応力降下量などの推定ができれば現象の理解に有用だが,AEセンサの周波数特性は複雑で,かつ固定方法の影響を大きく受けるため,そのような解析を行うことは簡単ではない.例えば,個々のセンサの微妙な接着状態の違いによりセンサ感度は倍半分程度変化するので,振幅を用いた解析にはその評価と補正が必要であるし,絶対感度が不明であるため振幅値から破壊の(相対規模ではなく)絶対的
な規模を求めることも困難である.本研究では,上記の困難を,レーザードップラー速度計や各実験直前に実施した音波透過試験データを利用するなどして解決し,室内水圧破砕実験で得られたAEの,モーメントテンソル・地震モーメント・コーナー周波数の推定を実施した.測定帯域が狭いことや,AEの震源メカニズム・規模の時間変化に起因するバイアスが複数かかるために,結果の解釈に注意が必要であることも判明したが,得
られた-9.2 ≤ Mw ≤ -6.8のAEに対して,
1)せん断型破壊に対して繰り返し報告されている応力降下量一定則と調和的なMo-fc関係を持つイベントが震源メカニズムによらず多発した,
2)特に開口成分が卓越するものに対して,上記スケーリング則から予想されるよりも低周波成分が卓越するイベントが多発した,という結論が得られた.
2)からは,高い間隙流体圧の存在が,開口変位の発生と低周波成分の卓越に寄与することが示唆される.
[参考文献]
M. Naoi, et al. (2020) Tensile dominant fractures observed in hydraulic fracturing laboratory experiment using eagle ford shale, Geophys. J. Int., 222, 769–780, doi: 10.1093/gji/ggaa183
R. Tanaka, et al. (2021) Preparatory AE activity of hydraulic fracture in granite with various viscous fluids revealed by deep learning technique, Geophys. J. Int., 226, 493–510, doi: 10.1093/gji/ggab096
M. Naoi, et al. Source parameter estimation of acoustic emissions induced by hydraulic fracturing in the laboratory, submitted to Geophys. J. Int.
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<今後の予定>
9月17日 日程未定 橋本学
© Research Center for Earthquake Hazards.
© Research Center for Earthquake Hazards.