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宮崎一希博士のセミナー(3月2日)

Seminar by Dr Miyazaki on 2 May

セミナー等

SEMINARS

更新日:2026.03.02

Updated: 2026.03.02

東工大で学位を取り,現在神戸大の学振PDの宮崎一希博士が宇治までいらっしゃることから,セミナーを下記のとおり開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時:3/2, 15:00-
場所:宇治キャンパス 防災研究所 本館E232D
講演者:宮崎一希(神戸大学 大学院理学研究科 日本学術振興会PD)

タイトル:日本下の薄い太平洋スラブでは深発地震を起こせない?
アブストラクト:
 オリビン−ウォズレアイト層転移は断層面の剪断不安定を引き起こすため、マントル遷移層における深発地震発生メカニズムの1つとして提案されている。また、沈み込むスラブ内部のような低温かつ乾燥した環境ではより深部まで準安定的にオリビンが存在する、Metastable olivine wedge (MOW)が形成されることが知られている。したがって、相転移断層モデルが成立していれば、深発地震の発生分布がMOWに沿うことが期待される。
本研究ではMOWと深発地震の空間的な関係を調べるため、中部日本下太平洋スラブを対象にレシーバー関数イメージングを行なった。その結果、スラブ内にMOWと解釈される低速度な構造がイメージされ、地震はMOWの特に下面付近に沿って発生していることが明らかになった。これは相転移断層モデルを支持する結果である。さらにMOWのシグナルが深さ450 km程度で消失することと、それ以降の深さで深発地震が発生していないことも明らかになった。 深発地震の発生深さ下限は同じ太平洋スラブにおいても地域性があり、中国東部、韓国、伊豆−マリアナ孤では深さ600 km程度まで地震が発生する。これらの地域では先行研究によりMOWが深さ600 km付近まで存在することが確認されている。したがって、深発地震の発生とMOWの深さ下限は広い範囲で連動していると考えられ、中部日本下における小さいMOWが深発地震発生を制御している可能性がある。グローバルなトモグラフィー研究はこの地域で太平洋プレートが部分的に断裂、あるいは薄化していることを指摘しており、スラブの厚さ変化がMOWの構造に影響を与えている可能性がある。
 そこで、スラブの厚さ変化がMOWの大きさに与える影響を調べるために、オリビン−ウォズレアイト相転移のカイネティクスを考慮した二次元の沈み込みシミュレーションを行なった。スラブの厚さ変化を速度変化によりモデル化し、有限要素法を用いて計算を行なった。その結果、スラブの厚さとMOWの大きさはおおむね線形の関係を持っており、スラブが薄くなるほどMOWが小さくなることが明らかになった。以上より、中部日本下では太平洋スラブの薄化による温度上昇がMOWの成長を阻害し、結果的に深さ450 kmを超えるような深発地震の発生を抑制している可能性がある。

東工大で学位を取り,現在神戸大の学振PDの宮崎一希博士が宇治までいらっしゃることから,セミナーを下記のとおり開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしております。

日時:3/2, 15:00-
場所:宇治キャンパス 防災研究所 本館E232D
講演者:宮崎一希(神戸大学 大学院理学研究科 日本学術振興会PD)

タイトル:日本下の薄い太平洋スラブでは深発地震を起こせない?
アブストラクト:
 オリビン−ウォズレアイト層転移は断層面の剪断不安定を引き起こすため、マントル遷移層における深発地震発生メカニズムの1つとして提案されている。また、沈み込むスラブ内部のような低温かつ乾燥した環境ではより深部まで準安定的にオリビンが存在する、Metastable olivine wedge (MOW)が形成されることが知られている。したがって、相転移断層モデルが成立していれば、深発地震の発生分布がMOWに沿うことが期待される。
本研究ではMOWと深発地震の空間的な関係を調べるため、中部日本下太平洋スラブを対象にレシーバー関数イメージングを行なった。その結果、スラブ内にMOWと解釈される低速度な構造がイメージされ、地震はMOWの特に下面付近に沿って発生していることが明らかになった。これは相転移断層モデルを支持する結果である。さらにMOWのシグナルが深さ450 km程度で消失することと、それ以降の深さで深発地震が発生していないことも明らかになった。 深発地震の発生深さ下限は同じ太平洋スラブにおいても地域性があり、中国東部、韓国、伊豆−マリアナ孤では深さ600 km程度まで地震が発生する。これらの地域では先行研究によりMOWが深さ600 km付近まで存在することが確認されている。したがって、深発地震の発生とMOWの深さ下限は広い範囲で連動していると考えられ、中部日本下における小さいMOWが深発地震発生を制御している可能性がある。グローバルなトモグラフィー研究はこの地域で太平洋プレートが部分的に断裂、あるいは薄化していることを指摘しており、スラブの厚さ変化がMOWの構造に影響を与えている可能性がある。
 そこで、スラブの厚さ変化がMOWの大きさに与える影響を調べるために、オリビン−ウォズレアイト相転移のカイネティクスを考慮した二次元の沈み込みシミュレーションを行なった。スラブの厚さ変化を速度変化によりモデル化し、有限要素法を用いて計算を行なった。その結果、スラブの厚さとMOWの大きさはおおむね線形の関係を持っており、スラブが薄くなるほどMOWが小さくなることが明らかになった。以上より、中部日本下では太平洋スラブの薄化による温度上昇がMOWの成長を阻害し、結果的に深さ450 kmを超えるような深発地震の発生を抑制している可能性がある。

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© Research Center for Earthquake Hazards.

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