更新日:2013.07.26
Updated: 2013.07.26
◯ 集中講義
海溝型巨大地震:「ちきゅう」掘削と海底観測でどこまで分かったか
講師:木下正高 先生
(海洋研究開発機構(JAMSTEC)高知コア研究所長 / 地震予知研究センター客員教授)
日時:2013年9月9日(月)午後~11日(水)
場所:京都大学 宇治キャンパス 地震予知研究センター研究棟 C200
概要:
南海トラフ地震発生帯掘削(NanTroSEIZE)が2007年9月に開始以来、6年経過した。
13地点で掘削、これまで延べ 170名超の研究者が「ちきゅう」に乗船した。4ノッ
トを超える黒潮下でのライザー掘削、東北地震による破損など、様々な困難を乗り
越え海底下7 kmの断層固着域に向けて掘削を進めている。また2012年には東北地震
掘削も行われ、先端破壊の仕組みが少しずつ分かってきた。本講義では、掘削や海
底観測の最新の成果を紹介しつつ、巨大地震の準備・発生の仕組みの理解に迫る。
また高知コアセンターにおけるIODPコアの保管の状況を紹介する。
時間割:
9月9日(月)
13:00 - 14:30「沈み込み帯の巨大地震」
14:45 - 16:15「地震発生帯掘削・海底観測の概要」
9月10日(火)
10:30 - 12:00「掘削の成果1:地震準備の場」
13:00 - 14:30「掘削の成果2:断層・地層特性」
15:00 - 16:30 特別セミナー「先端破壊:NanTroSEIZEとJFAST比較から分かったこと」
※詳細は下に
9月11日(水)
10:30 - 12:00「掘削科学とコアレポジトリー」
◯ 特別セミナー
先端破壊:NanTroSEIZEとJFAST比較から分かったこと
講師:木下正高 先生
(海洋研究開発機構(JAMSTEC)高知コア研究所長 / 地震予知研究センター客員教授)
日時:9月10日(火) 15:00 - 16:30
場所:京都大学 宇治キャンパス 地震予知研究センター研究棟 C200
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震では、北緯38度付近のプレート境界断層が
海溝軸付近まで数十mの滑りを生じたことが、地震学や測地学データから推測された。
また本震後にプレート境界上で正断層地震が発生したことから、本震時にせん断応力
がゼロ点を超えて負(上盤が水平伸張場に相当)になった(overshoot)と推測され
た。JFAST掘削から、地震の前後で応力降下していることや、2枚ある先端部断層のう
ち深い方のみが摩擦発熱を起こしていることなどが示された。これまでの地震発生モ
デルでは予測しえなかった、先端部の大規模滑りを理解する鍵の多くが、「ちきゅう」
掘削の成果に含まれることは間違いない。
IODP南海トラフ地震発生帯掘削(NanTroSEIZE)では、浅部断層2か所を貫通してコ
ア採取や計測が行われ、断層先端部が高速破壊を起こした証拠が見つかっている。
そのことは、南海トラフでもJFASTと同様、断層物質の摩擦係数が小さいことや、浸
透率が低いことからも支持されるであろう。
現在、NanTroSEIZEではデコルマ先端部・分岐断層先端部への孔内計測設置の準備
中である。またJFASTに引き続き、東北日本海溝軸付近でのアレー孔内計測提案が準
備中である。南海トラフ地震の描像を見直す時期である今こそ、遅滞なく必要な観測
を実現するべきであろう。
馴染みのない方が多いと思われる海での観測や海底掘削について,
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◯ 集中講義
海溝型巨大地震:「ちきゅう」掘削と海底観測でどこまで分かったか
講師:木下正高 先生
(海洋研究開発機構(JAMSTEC)高知コア研究所長 / 地震予知研究センター客員教授)
日時:2013年9月9日(月)午後~11日(水)
場所:京都大学 宇治キャンパス 地震予知研究センター研究棟 C200
概要:
南海トラフ地震発生帯掘削(NanTroSEIZE)が2007年9月に開始以来、6年経過した。
13地点で掘削、これまで延べ 170名超の研究者が「ちきゅう」に乗船した。4ノッ
トを超える黒潮下でのライザー掘削、東北地震による破損など、様々な困難を乗り
越え海底下7 kmの断層固着域に向けて掘削を進めている。また2012年には東北地震
掘削も行われ、先端破壊の仕組みが少しずつ分かってきた。本講義では、掘削や海
底観測の最新の成果を紹介しつつ、巨大地震の準備・発生の仕組みの理解に迫る。
また高知コアセンターにおけるIODPコアの保管の状況を紹介する。
時間割:
9月9日(月)
13:00 - 14:30「沈み込み帯の巨大地震」
14:45 - 16:15「地震発生帯掘削・海底観測の概要」
9月10日(火)
10:30 - 12:00「掘削の成果1:地震準備の場」
13:00 - 14:30「掘削の成果2:断層・地層特性」
15:00 - 16:30 特別セミナー「先端破壊:NanTroSEIZEとJFAST比較から分かったこと」
※詳細は下に
9月11日(水)
10:30 - 12:00「掘削科学とコアレポジトリー」
◯ 特別セミナー
先端破壊:NanTroSEIZEとJFAST比較から分かったこと
講師:木下正高 先生
(海洋研究開発機構(JAMSTEC)高知コア研究所長 / 地震予知研究センター客員教授)
日時:9月10日(火) 15:00 - 16:30
場所:京都大学 宇治キャンパス 地震予知研究センター研究棟 C200
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震では、北緯38度付近のプレート境界断層が
海溝軸付近まで数十mの滑りを生じたことが、地震学や測地学データから推測された。
また本震後にプレート境界上で正断層地震が発生したことから、本震時にせん断応力
がゼロ点を超えて負(上盤が水平伸張場に相当)になった(overshoot)と推測され
た。JFAST掘削から、地震の前後で応力降下していることや、2枚ある先端部断層のう
ち深い方のみが摩擦発熱を起こしていることなどが示された。これまでの地震発生モ
デルでは予測しえなかった、先端部の大規模滑りを理解する鍵の多くが、「ちきゅう」
掘削の成果に含まれることは間違いない。
IODP南海トラフ地震発生帯掘削(NanTroSEIZE)では、浅部断層2か所を貫通してコ
ア採取や計測が行われ、断層先端部が高速破壊を起こした証拠が見つかっている。
そのことは、南海トラフでもJFASTと同様、断層物質の摩擦係数が小さいことや、浸
透率が低いことからも支持されるであろう。
現在、NanTroSEIZEではデコルマ先端部・分岐断層先端部への孔内計測設置の準備
中である。またJFASTに引き続き、東北日本海溝軸付近でのアレー孔内計測提案が準
備中である。南海トラフ地震の描像を見直す時期である今こそ、遅滞なく必要な観測
を実現するべきであろう。
馴染みのない方が多いと思われる海での観測や海底掘削について,
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© Research Center for Earthquake Hazards.
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