更新日:2022.04.08
Updated: 2022.04.08
応用地球電磁気学ゼミナール(電磁気ゼミ)をご案内いたします。
他分野の方でも興味を持たれた方の参加を広く歓迎いたしますので、皆様ふるってご参加ください。
*・*・*・*・*・*・◆ 電磁気ゼミのご案内 ◆・*・*・*・*・*・*
科目:応用地球電磁気ゼミナール(修士・博士)
日時:2022年11月28日(月) 14:00~
場所:オンライン(Zoom)
発表者:宇津木 充
タイトル:磁化ベクトルを求めるための磁場三成分インバージョンについて
要旨:従来、地中岩石の磁気プロパティを求めるための磁気インバージョンにおいては、地中の岩石の磁化方向を既知とし、磁化ベクトルの大きさ(磁化強度)のみを未知として定式化することが常套的に行われてきた。その理由の一つとしては観測の主体がプロトン磁力計による全磁力測定であることが挙げられる。一般に三成分測定では方位を正確に決めなければいけないため(プロトン磁力計に比べ)測定が大変、また三成分磁力計は温度依存性を有すなどといった事から、地上サーベイや空中磁気観測では三成分測定はあまり行われていない。ここで全磁力は磁場三成分を足し合わせたスカラー量なので、未知変数にもスカラー量が用いられる(磁化ベクトルを未知とすると変数の数が多くなりすぎる)。こうしたことから従来は誘導磁化を想定し磁化率を議論することが多く行われている。しかし火山地帯などでは、磁気異常源は岩石の残留磁化がメインであり、この場合「磁化方向=現在の地球磁場」の近似は必ずしも成り立たない。そこでこうした地域での解析においては磁化方向も含めて求められるインバージョンの枠組みが求められる。
その枠組みの一つとして考えうる道筋としては、磁場の三成分データを用いて磁化三成分を求める、というものである。これに関し本発表では
1. 全磁力からの磁場三成分データの推定
2. 磁場三成分を用いたインバージョン手法
の2点について紹介・考察する。
1についてだが、観測が全磁力主体である現状において、古くから全磁力データのポテンシャル論に基づく変換により他の観測量を推定する手法が開発・実用化されている(例えば極磁気変換や疑重力変換など)。これらの方法の応用により全磁力から三成分への変換が可能である。
2については、1のデータ変換の手続きから、全磁力から得られる三成分データを説明するための観測方程式は、全磁力による観測方程式と線形独立でないことが示される。従って単純にこれらの観測方程式を連立させて磁化三成分を未知変数としただけでは徒に観測行列の条件数を大きくし、安定性を悪化させる事になる。そこで三成分データを拘束条件とした制約つき最適化問題として定式化し、ラグランジュ関数法で解くことを試みる。
*・*・*・◆*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*◆・*・*・*
今後の予定
12/05 山﨑
12/12 乾
12/19 吉村
01/10 宇津木 ※注:火曜日だが月曜授業
01/16 伊藤
01/23 吉村
01/30 乾、石橋(修論発表予行)
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日時:2022年11月28日(月) 14:00~
場所:オンライン(Zoom)
発表者:宇津木 充
タイトル:磁化ベクトルを求めるための磁場三成分インバージョンについて
要旨:従来、地中岩石の磁気プロパティを求めるための磁気インバージョンにおいては、地中の岩石の磁化方向を既知とし、磁化ベクトルの大きさ(磁化強度)のみを未知として定式化することが常套的に行われてきた。その理由の一つとしては観測の主体がプロトン磁力計による全磁力測定であることが挙げられる。一般に三成分測定では方位を正確に決めなければいけないため(プロトン磁力計に比べ)測定が大変、また三成分磁力計は温度依存性を有すなどといった事から、地上サーベイや空中磁気観測では三成分測定はあまり行われていない。ここで全磁力は磁場三成分を足し合わせたスカラー量なので、未知変数にもスカラー量が用いられる(磁化ベクトルを未知とすると変数の数が多くなりすぎる)。こうしたことから従来は誘導磁化を想定し磁化率を議論することが多く行われている。しかし火山地帯などでは、磁気異常源は岩石の残留磁化がメインであり、この場合「磁化方向=現在の地球磁場」の近似は必ずしも成り立たない。そこでこうした地域での解析においては磁化方向も含めて求められるインバージョンの枠組みが求められる。
その枠組みの一つとして考えうる道筋としては、磁場の三成分データを用いて磁化三成分を求める、というものである。これに関し本発表では
1. 全磁力からの磁場三成分データの推定
2. 磁場三成分を用いたインバージョン手法
の2点について紹介・考察する。
1についてだが、観測が全磁力主体である現状において、古くから全磁力データのポテンシャル論に基づく変換により他の観測量を推定する手法が開発・実用化されている(例えば極磁気変換や疑重力変換など)。これらの方法の応用により全磁力から三成分への変換が可能である。
2については、1のデータ変換の手続きから、全磁力から得られる三成分データを説明するための観測方程式は、全磁力による観測方程式と線形独立でないことが示される。従って単純にこれらの観測方程式を連立させて磁化三成分を未知変数としただけでは徒に観測行列の条件数を大きくし、安定性を悪化させる事になる。そこで三成分データを拘束条件とした制約つき最適化問題として定式化し、ラグランジュ関数法で解くことを試みる。
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今後の予定
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12/12 乾
12/19 吉村
01/10 宇津木 ※注:火曜日だが月曜授業
01/16 伊藤
01/23 吉村
01/30 乾、石橋(修論発表予行)
© Research Center for Earthquake Hazards.
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